万年初心者のための世界史ブックガイド

2018年6月26日

高山純 石川榮吉 高橋康昌 『オセアニア  (地域からの世界史17)』 (朝日新聞社)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 03:26

「オセアニア」カテゴリ追加の為の本を探していたら、コンパクトなこのシリーズの巻があった。

ざっくり言うと、文字が無い以上、この地域は、16世紀のヨーロッパ人の来航までが全部先史時代扱いになっちゃうんですよねえ。

で、紀元前から15世紀までの先史時代、16~18世紀のヨーロッパ進出時代、19~20世紀の民族意識形成時代、そして終章で日本とオセアニアとの関係に触れるという、四部構成。

先史時代は、当然、考古学、文化人類学、民族学などの知見を使用した記述となるが、きついなあ・・・・・。

わからない。

面白くない。

興味がない。

ざーっと飛ばし読み。

結局、地理を捉えるというのが中心にならざるを得ない。

陸地の圧倒的部分を、オーストラリア、ニューギニア、ニュージーランドが占める。

残りの島嶼圏が、オーストラリアの北、赤道以南にあるメラネシア(ギリシア語のメラス[黒い]が語源)、その東側に赤道を挟んで広大な面積を占めるポリネシア(「多数の島々」の意)、メラネシアの北、赤道以北がミクロネシア(「小さな島々」)に分かれるという、三地域の区別だけは、しっかりつけておく。

で、諸島名を、大体の位置関係と共に、出来るだけ把握。

メラネシアが、ソロモン諸島、ニューヘブリデス諸島、ニューカレドニア島、フィジー諸島。

ポリネシアが、エリス諸島、サモア諸島、トンガ諸島、クック諸島、タヒチ島、マルケサス諸島と、赤道はるか北のハワイ諸島。

ミクロネシアが、パラオ(ベラウ)諸島、ヤップ諸島、マリアナ諸島、カロリン諸島、トラック諸島、マーシャル諸島、ギルバート諸島。

ヨーロッパ進出以後は、地域のあらゆる伝統的秩序が変容を余儀なくされる。

その中では、オーストラリア先住民のアボリジニのように、余りに孤立した環境で生活していたが故の遅れを取り戻せず、なす術無く衰退していった民族がいる一方で、ニュージーランドのマオリ族は比較的自己の存在を守ることに成功し、ハワイやトンガなどでは、ヨーロッパ人がもたらした火器などを利用して、統一王国を築いた例もあった。

19世紀後半から、本格的植民地化が進行。

ミクロネシアがドイツ領(第一次大戦後は日本)、メラネシアからポリネシアの広大な海域はイギリス、タヒチとニューカレドニアがフランス、ニューヘブリデスが英仏共同統治、ハワイとサモア東部がアメリカ。

独立は、1960年代から80年代にかけて。

その際、ヨーロッパ起源の名称を排し、ニューヘブリデス→ヴァヌアツ、エリス→ツヴァルと、国名を変更した国もある。

なお、現在でも、グアム島、米領サモア、ニューカレドニア、タヒチを含む仏領ポリネシアなど米仏の海外領土と見なされるものが存在。

終章では、江戸時代の日本人漂流民の興味深い話と、第一次大戦後、国際連盟の委任統治領(連盟脱退後は正式領土)であった「南洋群島」「内南洋」(ミクロネシア)について触れている。

後者の記述中では、問題点を指摘しつつも、年配の現地一般人の意見を参考にした上で、基本的に日本の統治を戦前・戦後の欧米のそれと比較して肯定的に捉えている。

現在のように、夜郎自大としか言いようのない、野卑で低劣で軽薄な幼児的ナショナリズムが蔓延している状況ではなく、本書が刊行された1992年、しかも朝日新聞社が出した本で、このように書くのはバランスが取れていると言えるでしょう。

 

 

本文は180ページ余りで、手頃ではある。

まあ、これくらいの内容でいいんじゃないですかね。

山川出版社の『オセアニア史 (新版世界各国史)』じゃ、読むのがきついでしょう。

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2018年1月13日

ジェフリー・ブレイニー 『オーストラリア歴史物語』 (明石書店)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 05:31

当ブログで、「オランダ」と並んで、最も記事数が少ないカテゴリが「オセアニア」である。

しかし、ある程度はしょうがない。

普通の歴史好きのレベルでは、オーストラリア史一冊と太平洋島嶼史一冊読めば、オセアニア史は「あがり」ですよね。

しかし、少しでも数を増やす為に、これでも読んどきます?

ブレイニーの別作品『距離の暴虐』の名前は聞いたことがあるが、もちろん読んだことはない。

最近出た『小さな大世界史』(ミネルヴァ書房)も同じ著者か。

著者は、先住民アボリジニや移民の問題について、やや保守的な意見を公表し、一部で強い批判を受けたこともあったという。

しかし、本書の以下のような記述を読むと、特に偏りのある意見とも思えない気がする。

ひとつ問題となったのは、この地で対照的なアボリジニとヨーロッパ人の歴史をどのように比較考量し、調和させるかということだった。私は、多くの歴史家や評論家のようにオーストラリア白人の歴史を全面的に弾劾し、アボリジニの歴史と彼らの現在の要求事項を優位におきたいとは思わない。だがまたアボリジニの歴史を野蛮人のものだと排斥してしまうという、極端な逆の態度にも益はないと考える。双方の歴史上の各局面は、それぞれ特有の価値を有している。

 

 

いわゆる白豪主義政策は、結局のところオーストラリアの評判を悪くすることになった。あまりにも融通がきかず、長く継承されすぎたし、品格を傷つけるような言葉や不当な論法でしばしば弁護されてきた。しかしながら、オーストラリア人あるいはアジアの評論家の中には、この政策を誇張しすぎている者がある。二〇世紀の初頭は、世界はまだ島国的だったことを忘れている。海外への渡航は一般的ではなかった。当時は、大半の国が、それぞれの宗教や親族関係や文化を固持していて、国民的結束は戦争の際には有効な特質だったのだ。しかも、その時のオーストラリア的な生活とアジア的な生活はあまりにも大きくかけ離れていて、相互の誤解が生まれやすかった。

白豪主義政策は、オーストラリアに特異なものであるとはいえない。カナダ、アメリカ合衆国、ニュージーランドの三つの民主的国家も中国人の流入に直面しており、一八八〇年代までにはアジア人を対象とした独自の制限方法を持っていた。中国も日本も外国人を歓迎していたわけではない。・・・・・

オーストラリアの政策はときおり、他の人種に対して傲慢さと全くの侮蔑を含んでいた。同時にオーストラリアは、他の多くの国民や部族よりもはるかに多く、異なる人々を受け入れてきた。

 

個別的な叙述については、軽く流していいでしょう。

シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレード、キャンベラ、パース、ダーウィン、ホバート、ケアンズという都市の位置と州名をまずチェック。

大航海時代の16世紀に「発見」はされていたが、ヨーロッパ人の本格的移住は18世紀後半、イギリス人のクックによる探検以降。

流刑植民地として出発したが、徐々に自由移民が中心となる。

アメリカよりも平等主義的で、政府介入への嫌悪が少ない気風が培われる。

19世紀前半は羊毛業が大発展、世紀後半に入ると空前のゴールド・ラッシュと鉱業による繁栄が続く。

各州植民地自治政府下で、男子普通選挙など当時としては急進的な民主主義の実験を行っていたが、厳格に資格制限された上院が存在したこともあって、幸い大きな混乱をもたらすことはなかった。

1890年代の大不況を経て、1901年自治領オーストラリア連邦発足。

自由党と労働党が対峙。

社会風俗史的記述が多いので、その時代の大体の雰囲気をつかむことに重点を置いて、バートン、ヒューズ、カーティン、メンジズ、ホイットラム、フレーザー、ホーク、キーティング、ハワードなどの政治指導者の名前は軽く目に慣らす程度でいいでしょう。

 

 

可もなく、不可もない、という感じの本。

手頃で、取り付きやすい点は、よしとします。

2010年3月1日

遠藤雅子 『オーストラリア物語  歴史と日豪交流10話』 (平凡社新書)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 06:00

平凡社新書はひょっとして初めてか。

初版が2000年と少々古いが、シドニー・オリンピックに合わせて刊行されたものらしい。

先日の『カナダの歴史がわかる25話』と似たタイプの本。

これも史的エッセイという感じ。

全10章だが、普通のオーストラリア史は第6章までで、1901年の自治領、オーストラリア連邦成立までが叙述範囲。

残り4章は、普通の通史は語られず、日豪関係を概観する記述。

例によって偉そうな感想で恐縮ですが、あまり内容が濃いとは思えない本。

普通考えると、竹田いさみ『物語オーストラリアの歴史』(中公新書)を再読した方がいいんでしょうが、しかしオセアニアカテゴリに、とにかく何か追加したいという気持ちが勝って手に取る。

最小限の事項だけメモすると、1642年オランダ東インド会社のタスマンがタスマニア島とニュージーランドを発見。

七年戦争勝利後にイギリス海軍が派遣したジェームズ・クックの調査隊が1770年オーストラリア大陸東岸に到達。

1788年イギリスの流刑植民地ニューサウスウェールズ誕生。

初期の開拓の中心はシドニー。

1823年ニューサウスウェールズが自治植民地に。

1829年オーストラリア全土の領有を宣言。

ニューサウスウェールズから分離したり、新たに設置された植民地が広がっていく。

ここで主要都市の位置を確認。

まず、シドニーが東海岸やや南より。

南東部のヴィクトリア州の中心がメルボルン。

この両都市の妥協の結果、後に首都は両者の中間にあるキャンベラに設けられる。

(カナダで、トロントとモントリオールの中間に人口規模の劣る首都のオタワがあるのとよく似てる。)

北東部はクイーンズランド州で中心は東海岸のちょうど真ん中くらいにあるブリスベン。

南オーストラリア州にはアデレードがあり、南西部にパース、北海岸の中間にはダーウィン、北東海岸沿いにはケアンズ。

1901年各植民地が合同してオーストラリア連邦結成、自治領となる。

連邦を結成して後、白豪主義を採用したというより、白豪主義を維持するために連邦を結成したという(半)独立の経緯は、上記『物語オーストラリアの歴史』にもある通り。

以後の日豪関係を扱った章は、特に書くことも無いのだが、一点だけ、オーストラリアが日英同盟に反対し続けたという記述が気になった。

岡崎久彦『幣原喜重郎とその時代』(PHP文庫)などでの記述では、ワシントン会議において、日米対立が日英同盟に連動して米英関係を悪化させることを懸念したカナダは日英同盟継続にに反対したが、アメリカよりも日本に地理的に近いオーストラリアは、イギリスとの同盟関係が日本の行動を抑止し予測可能にするという観点からむしろ同盟継続を支持したと書いてあった気がする。

たぶん、私の記憶違いでは無いはずだが・・・・・・。

簡単に読めるのは良い。

とりあえず、一番最初のオーストラリア史はこれでもいいんじゃないでしょうか。

2008年1月25日

増田義郎 『太平洋 開かれた海の歴史』 (集英社新書)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 06:00

ミクロネシア(サイパン・グアム・マーシャル諸島・パラオ・ナウルなど)、メラネシア(ニューギニア・ニューブリテン島・ソロモン諸島・バヌアツ・ニューカレドニア・フィジーなど)、西ポリネシア(ツバル・サモア・トンガなど)、東ポリネシア(ハワイからキリバス・タヒチを経てイースタ島やニュージーランドまでを含む広大な領域)の歴史を概観したオセアニア史。

こういう分野はいくら貴重だといってもあまり分厚い本は読む気がしないので、新書版一冊で適度な知識が得られるのは有難い。

別に読みにくいところはなく、最後まで楽に読める。

本文を読む際、巻頭の地図をめんどくさがらず何度も見た方が良いでしょう。

その方が頭に入ります。

暇な時に一読しておくといいんじゃないでしょうか。

2007年9月13日

竹田いさみ 『物語オーストラリアの歴史』 (中公新書)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 06:00

オセアニアが実質ゼロなのも寂しいなあと思っていたので、「まあとりあえずこれでいいだろ」と適当に選んだこれを読んだ。

さして面白いもんでもないが、マイナー分野の入門書としてはこれで十分じゃないでしょうか。

目次を見るとテーマ別構成のように見えるが、実際読んでみると大体年代順の記述になっている。

特に読みにくいところもなく、初心者でも楽に通読できる。

シドニー、メルボルン、キャンベラ、ブリスベン、アデレードの大体の位置関係とか、そのうちどれが首都かとか、太平洋上のポリネシア、メラネシア、ミクロネシアの分布とか、歴史以前のごく基礎的なことも頭に入る。

割とお勧めです。

2007年1月5日

中屋健一 責任編集 『世界の歴史 11 新大陸と太平洋』 (中公文庫)

Filed under: アメリカ, オセアニア, ラテン・アメリカ, 全集 — 万年初心者 @ 06:30

前巻をやっとこさ乗り超えてアメリカ史です。

変な偏りもない、ごく普通の通史。

それは結構なんですが、何と言うか、焦点が定まらないというかどうもまとまりのない記述が淡々と進むといった感じでもう一つである。

初心者向けアメリカ史入門書としてはやはりアンドレ・モロワ『アメリカ史』に勝るものはないのかなと思ってしまう。

最後の2章くらいはオーストラリア史。

このシリーズではアフリカ史はもちろん、東南アジア史も完全に抜け落ちてるんですが、この辺に時代を感じますね。

さほど面白くもないが、そこそこの内容を持つ本と思います。

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