万年初心者のための世界史ブックガイド

2018年1月13日

ジェフリー・ブレイニー 『オーストラリア歴史物語』 (明石書店)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 05:31

当ブログで、「オランダ」と並んで、最も記事数が少ないカテゴリが「オセアニア」である。

しかし、ある程度はしょうがない。

普通の歴史好きのレベルでは、オーストラリア史一冊と太平洋島嶼史一冊読めば、オセアニア史は「あがり」ですよね。

しかし、少しでも数を増やす為に、これでも読んどきます?

ブレイニーの別作品『距離の暴虐』の名前は聞いたことがあるが、もちろん読んだことはない。

最近出た『小さな大世界史』(ミネルヴァ書房)も同じ著者か。

著者は、先住民アボリジニや移民の問題について、やや保守的な意見を公表し、一部で強い批判を受けたこともあったという。

しかし、本書の以下のような記述を読むと、特に偏りのある意見とも思えない気がする。

ひとつ問題となったのは、この地で対照的なアボリジニとヨーロッパ人の歴史をどのように比較考量し、調和させるかということだった。私は、多くの歴史家や評論家のようにオーストラリア白人の歴史を全面的に弾劾し、アボリジニの歴史と彼らの現在の要求事項を優位におきたいとは思わない。だがまたアボリジニの歴史を野蛮人のものだと排斥してしまうという、極端な逆の態度にも益はないと考える。双方の歴史上の各局面は、それぞれ特有の価値を有している。

 

 

いわゆる白豪主義政策は、結局のところオーストラリアの評判を悪くすることになった。あまりにも融通がきかず、長く継承されすぎたし、品格を傷つけるような言葉や不当な論法でしばしば弁護されてきた。しかしながら、オーストラリア人あるいはアジアの評論家の中には、この政策を誇張しすぎている者がある。二〇世紀の初頭は、世界はまだ島国的だったことを忘れている。海外への渡航は一般的ではなかった。当時は、大半の国が、それぞれの宗教や親族関係や文化を固持していて、国民的結束は戦争の際には有効な特質だったのだ。しかも、その時のオーストラリア的な生活とアジア的な生活はあまりにも大きくかけ離れていて、相互の誤解が生まれやすかった。

白豪主義政策は、オーストラリアに特異なものであるとはいえない。カナダ、アメリカ合衆国、ニュージーランドの三つの民主的国家も中国人の流入に直面しており、一八八〇年代までにはアジア人を対象とした独自の制限方法を持っていた。中国も日本も外国人を歓迎していたわけではない。・・・・・

オーストラリアの政策はときおり、他の人種に対して傲慢さと全くの侮蔑を含んでいた。同時にオーストラリアは、他の多くの国民や部族よりもはるかに多く、異なる人々を受け入れてきた。

 

個別的な叙述については、軽く流していいでしょう。

シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレード、キャンベラ、パース、ダーウィン、ホバート、ケアンズという都市の位置と州名をまずチェック。

大航海時代の16世紀に「発見」はされていたが、ヨーロッパ人の本格的移住は18世紀後半、イギリス人のクックによる探検以降。

流刑植民地として出発したが、徐々に自由移民が中心となる。

アメリカよりも平等主義的で、政府介入への嫌悪が少ない気風が培われる。

19世紀前半は羊毛業が大発展、世紀後半に入ると空前のゴールド・ラッシュと鉱業による繁栄が続く。

各州植民地自治政府下で、男子普通選挙など当時としては急進的な民主主義の実験を行っていたが、厳格に資格制限された上院が存在したこともあって、幸い大きな混乱をもたらすことはなかった。

1890年代の大不況を経て、1901年自治領オーストラリア連邦発足。

自由党と労働党が対峙。

社会風俗史的記述が多いので、その時代の大体の雰囲気をつかむことに重点を置いて、バートン、ヒューズ、カーティン、メンジズ、ホイットラム、フレーザー、ホーク、キーティング、ハワードなどの政治指導者の名前は軽く目に慣らす程度でいいでしょう。

 

 

可もなく、不可もない、という感じの本。

手頃で、取り付きやすい点は、よしとします。

広告

2010年3月1日

遠藤雅子 『オーストラリア物語  歴史と日豪交流10話』 (平凡社新書)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 06:00

平凡社新書はひょっとして初めてか。

初版が2000年と少々古いが、シドニー・オリンピックに合わせて刊行されたものらしい。

先日の『カナダの歴史がわかる25話』と似たタイプの本。

これも史的エッセイという感じ。

全10章だが、普通のオーストラリア史は第6章までで、1901年の自治領、オーストラリア連邦成立までが叙述範囲。

残り4章は、普通の通史は語られず、日豪関係を概観する記述。

例によって偉そうな感想で恐縮ですが、あまり内容が濃いとは思えない本。

普通考えると、竹田いさみ『物語オーストラリアの歴史』(中公新書)を再読した方がいいんでしょうが、しかしオセアニアカテゴリに、とにかく何か追加したいという気持ちが勝って手に取る。

最小限の事項だけメモすると、1642年オランダ東インド会社のタスマンがタスマニア島とニュージーランドを発見。

七年戦争勝利後にイギリス海軍が派遣したジェームズ・クックの調査隊が1770年オーストラリア大陸東岸に到達。

1788年イギリスの流刑植民地ニューサウスウェールズ誕生。

初期の開拓の中心はシドニー。

1823年ニューサウスウェールズが自治植民地に。

1829年オーストラリア全土の領有を宣言。

ニューサウスウェールズから分離したり、新たに設置された植民地が広がっていく。

ここで主要都市の位置を確認。

まず、シドニーが東海岸やや南より。

南東部のヴィクトリア州の中心がメルボルン。

この両都市の妥協の結果、後に首都は両者の中間にあるキャンベラに設けられる。

(カナダで、トロントとモントリオールの中間に人口規模の劣る首都のオタワがあるのとよく似てる。)

北東部はクイーンズランド州で中心は東海岸のちょうど真ん中くらいにあるブリスベン。

南オーストラリア州にはアデレードがあり、南西部にパース、北海岸の中間にはダーウィン、北東海岸沿いにはケアンズ。

1901年各植民地が合同してオーストラリア連邦結成、自治領となる。

連邦を結成して後、白豪主義を採用したというより、白豪主義を維持するために連邦を結成したという(半)独立の経緯は、上記『物語オーストラリアの歴史』にもある通り。

以後の日豪関係を扱った章は、特に書くことも無いのだが、一点だけ、オーストラリアが日英同盟に反対し続けたという記述が気になった。

岡崎久彦『幣原喜重郎とその時代』(PHP文庫)などでの記述では、ワシントン会議において、日米対立が日英同盟に連動して米英関係を悪化させることを懸念したカナダは日英同盟継続にに反対したが、アメリカよりも日本に地理的に近いオーストラリアは、イギリスとの同盟関係が日本の行動を抑止し予測可能にするという観点からむしろ同盟継続を支持したと書いてあった気がする。

たぶん、私の記憶違いでは無いはずだが・・・・・・。

簡単に読めるのは良い。

とりあえず、一番最初のオーストラリア史はこれでもいいんじゃないでしょうか。

2008年1月25日

増田義郎 『太平洋 開かれた海の歴史』 (集英社新書)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 06:00

ミクロネシア(サイパン・グアム・マーシャル諸島・パラオ・ナウルなど)、メラネシア(ニューギニア・ニューブリテン島・ソロモン諸島・バヌアツ・ニューカレドニア・フィジーなど)、西ポリネシア(ツバル・サモア・トンガなど)、東ポリネシア(ハワイからキリバス・タヒチを経てイースタ島やニュージーランドまでを含む広大な領域)の歴史を概観したオセアニア史。

こういう分野はいくら貴重だといってもあまり分厚い本は読む気がしないので、新書版一冊で適度な知識が得られるのは有難い。

別に読みにくいところはなく、最後まで楽に読める。

本文を読む際、巻頭の地図をめんどくさがらず何度も見た方が良いでしょう。

その方が頭に入ります。

暇な時に一読しておくといいんじゃないでしょうか。

2007年9月13日

竹田いさみ 『物語オーストラリアの歴史』 (中公新書)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 06:00

オセアニアが実質ゼロなのも寂しいなあと思っていたので、「まあとりあえずこれでいいだろ」と適当に選んだこれを読んだ。

さして面白いもんでもないが、マイナー分野の入門書としてはこれで十分じゃないでしょうか。

目次を見るとテーマ別構成のように見えるが、実際読んでみると大体年代順の記述になっている。

特に読みにくいところもなく、初心者でも楽に通読できる。

シドニー、メルボルン、キャンベラ、ブリスベン、アデレードの大体の位置関係とか、そのうちどれが首都かとか、太平洋上のポリネシア、メラネシア、ミクロネシアの分布とか、歴史以前のごく基礎的なことも頭に入る。

割とお勧めです。

2007年1月5日

中屋健一 責任編集 『世界の歴史 11 新大陸と太平洋』 (中公文庫)

Filed under: アメリカ, オセアニア, ラテン・アメリカ, 全集 — 万年初心者 @ 06:30

前巻をやっとこさ乗り超えてアメリカ史です。

変な偏りもない、ごく普通の通史。

それは結構なんですが、何と言うか、焦点が定まらないというかどうもまとまりのない記述が淡々と進むといった感じでもう一つである。

初心者向けアメリカ史入門書としてはやはりアンドレ・モロワ『アメリカ史』に勝るものはないのかなと思ってしまう。

最後の2章くらいはオーストラリア史。

このシリーズではアフリカ史はもちろん、東南アジア史も完全に抜け落ちてるんですが、この辺に時代を感じますね。

さほど面白くもないが、そこそこの内容を持つ本と思います。

WordPress.com で無料サイトやブログを作成.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。