万年初心者のための世界史ブックガイド

2018年10月12日

アナトール・フランス 『神々は渇く  (アナトール・フランス小説集2)』 (白水社)

Filed under: フランス, 文学 — 万年初心者 @ 09:46

これも学生時代に読んだきりで、なおかつ深い感動を覚えた作品なので、いつかは再読したいと思っていた。

岩波文庫版以外の翻訳は無いかなあと探すと、これがあった。

元版の刊行は1950年らしく、こちらの方が古い訳だと思うが、特に問題は無し。

1793~94年、恐怖政治時代のパリが舞台。

純真な正義感の持主であるはずが、ジャコバン派に加わり、革命裁判所の陪審員として冷酷残忍な行為に手を染める青年画家エヴァリスト・ガムランが主人公。

政治に無関心な典型的庶民である母、亡命貴族と駆け落ちした妹ジュリー、ガムランの恋人エロディ、エロディの父で成金的富裕商人のブレーズ、元貴族で皮肉な無神論者の隣人ブロトー、迫害された修道士で深い信仰を持つロングマール、強い反骨心の持主である娼婦アテナイス、軽薄な享楽主義者デマイ、エロディの元恋人で唾棄すべき日和見主義者の竜騎兵アンリらが登場人物。

読後感は、やはり素晴らしい、の一言。

美しい文章で、深刻なテーマをこれ以上無いほど読者に考えさせてくれる。

場面の転換も早く、小説技法的にも長け、読みやすい。

マラー、ロベスピエールなど史上の著名人物も顔を出し、当時の状況が非常によくわかる。

歴史小説として、シェンキェヴィチ『クォ・ヴァディス』プーシキン『大尉の娘』ユゴー『九十三年』と並んで、本当に完璧な作品。

真の傑作だ。

未読の方には是非薦める。

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