万年初心者のための世界史ブックガイド

2018年9月21日

小島朋之 『中国現代史  建国50年、検証と展望』 (中公新書)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 02:49

中華人民共和国建国から50年の1999年に合わせて出たという、天児慧『中華人民共和国史』(岩波新書)と似たような本。

二部構成で、第一部が通史的叙述、第二部が比較・関係論的叙述。

一部では、最初と最後の概論を除いて、建国後50年の歴史を、「前三十年」(毛沢東時代)と「後二十年」(鄧小平時代)に二分。

毛沢東時代、建国当初は新民主主義の名の下、共産党以外の民主諸党派との協力、資本主義的要素を残存させた漸進主義的路線が採用され、共産党独裁への懸念を弱めたはずが、わずか数年後にその姿勢は放棄され、「反右派闘争」、「大躍進」政策、文化大革命という凄惨な政治弾圧が繰り返され、膨大な数の犠牲者が生まれる。

1978年に始まる鄧小平時代、改革開放路線を採用、市場経済を導入し経済成長が軌道に乗るが、一党独裁体制の変革を主張する学生らを1989年天安門事件で弾圧、その後経済改革も停滞するが、1992年「南巡講話」でそれを再加速させ、「社会主義市場経済」を全面的に推進し、高度成長を遂げる。

第二部では中国と、東アジア・香港・台湾・アメリカ・日本の関係について簡単に触れている。

そして終章で建国百周年2049年に向けた展望を語って終わり。

その終章で「二〇一五年には米国と並ぶ経済大国に?」という節があるが、その時点を過ぎた現在、日本を追い抜き、米国に次ぐ経済規模となっている。

本書は中国の将来を楽観も悲観もせず、冷静な筆致で記しているようである。

 

 

さほど詳細な史実は取り上げず、概観を述べていくタイプの本で、あまり面白くない。

それも、同じような話の繰り返しが多く、内容はそれほど濃くない。

最初に挙げた天児慧『中華人民共和国史』(岩波新書)の方が普通の通史に近く、役に立つ感じ。

しかし、やはり初心者向け中国現代史の決定版は、依然中嶋嶺雄『中国 歴史・社会・国際関係』(中公新書)かなと思う。

明解な時代区分を始め、極めて効用の高い入門書となっている。

これは1982年初版の本で相当古いが、本書も刊行後20年ほど経っている以上、中嶋著に比して最新情勢までフォローされているというメリットはかなり薄れてしまっているでしょう。

現在、強いて読む必要がある本ではないかなあ。

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