万年初心者のための世界史ブックガイド

2018年5月17日

廣瀬陽子 『アゼルバイジャン  文明が交錯する「火の国」 ユーラシア文庫5』 (群像社)

Filed under: ロシア — 万年初心者 @ 04:15

カテゴリに迷う。

「イスラム・中東」でいいかもしれないが、旧ソ連構成国ということで、「ロシア」にします。

中公新書で『物語アゼルバイジャンの歴史』は出そうにもないし、出ても読むかどうかわからない。

明石書店のエリア・スタディーズ『~を知るための〇〇章』でもこの国は見たことはない(たぶん)。

で、たまたま書店で見かけたこれを記事にする。

2016年刊。

アゼルバイジャンは、西の黒海、東のカスピ海に挟まれたコーカサスにある国で、東はカスピ海、西はグルジア(ジョージア)とアルメニア、南はイランに接する。

言語はアルタイ語族でトルコ語に近い。

イスラム教徒が九割以上、そのうち七割がシーア派、三割がスンナ派。

キリスト教を奉ずる、隣国アルメニア、グルジアとこの点異なる。

首都はバクー、石油と天然ガスを産出し、資源は豊か。

民族の起源としては「コーカサス・アルバニア人」説(このアルバニアはバルカン半島の国とは無関係)と「トルコ人」説がある。

独立していた時期は短く、古代からメディア、ササン朝、サファヴィー朝とイラン勢力の支配下にある時期が長い。

1828年トルコマンチャーイ条約でアゼルバイジャンはカージャール朝ペルシアとロシア帝国との間で南北分割、その為、現在でもイラン北部に多数のアゼルバイジャン人が在住。

帝政ロシア治下で、アゼルバイジャン人とアルメニア人の対立が生まれる。

ロシア革命で短期間の独立を経験したが、1920年赤軍がバクー制圧、1922年コーカサス三国がザカフカスとしてソヴィエト連邦加入国に(36年にザカフカスは分解)。

ソ連時代末期、アゼルバイジャン出身者ヘイダル・アリエフが中央指導層の一員に加わるが、ペレストロイカを推進するゴルバチョフからブレジネフ派の残党と見なされ、解任される。

共産党独裁体制弱体化の中で、アルメニアとの民族対立が激化、アゼルバイジャン領内にあり、アルメニア系人口が多いナゴルノ・カラバフ自治州が焦点となる。

1991年ソ連崩壊に伴い、独立。

92年アルメニアがナゴルノ・カラバフを占拠、現在でもこの状態が続いているという。

独立時、最後の共産党第一書記ムタリボフが初代大統領に就任したが、抗議運動で辞任、92年反共産党勢力「人民戦線」のエルチベイが大統領に当選。

しかし、民主的な理想主義者ではあるが、ロシアとイランという南北の大国を敵視する一方、米国とトルコとの連携を重視し、CIS(独立国家共同体)から脱退し、経済混乱も収拾できなかったエルチベイは、93年クーデタで政権の座を追われる。

替わったのは、上記ヘイダル・アリエフであり、経済と社会の安定について一定の成果は挙げたが、その政治は著しく権威主義化し、2003年のアリエフ死後は息子のイルハム・アリエフが後継者となり、「大統領君主制」とも言うべき体制が続いている。

 

 

この国について知っておくべきことは、以上くらいでいいでしょう。

100ページほどのパンフレットみたいな本だが、これで十分。

読む労力とテーマの重要性の兼ね合いから言って、適切な本です。

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