万年初心者のための世界史ブックガイド

2018年4月7日

ヘリエ・サイゼリン・ヤコブセン 『デンマークの歴史』 (ビネバル出版)

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訳書は1995年刊。

旅行ガイドの人が、外国人(特に英国人)向けに書き下ろしたデンマーク史とのこと。

前近代中心に、国王の治世を軸に据えて叙述しているのは良い。

しかし、王名がズラズラーっと並んでいるのは、正直キツイなあ・・・・・。

ごく大雑把なところを読み取れればいいと考えて通読。

 

デンマークは、ドイツの北にくっ付いているユトランド半島にある国。

ただし、首都のコペンハーゲンは最大の島シェラン島にある。

さらに北のスカンジナビア半島で、一番西側で長いフィヨルド式海岸を擁するのがノルウェー。

スカンジナビア三国の中で真ん中にあるのがスウェーデン。

その隣、ロシアに面するのがフィンランド。

デンマーク、ノルウェー、スウェーデンが現在も王国なのに対し、フィンランドだけ共和国(独立していた時期も最も短い)。

ヴァイキング時代までの歴史はすっ飛ばしていいでしょう。

北ゲルマン=ノルマン人=ヴァイキングがデンマークを支配、デーン人とも呼ばれ、国名の由来となる。

カール大帝の勢力がユトランド半島南部にまで伸びてくるが、デーン人はイングランド、フランクなどを襲撃。

10世紀デーン人は、ゴーム(老王)の下、初の本格的王朝であるイェリング朝を成立させる。

ドイツに神聖ローマ帝国誕生、その圧力を受けた二代目のハーラル1世(青歯王)はキリスト教に改宗。

少し後にはクヌーズ(クヌート)大王が即位、1018年デンマーク・イングランド・ノルウェーに及ぶ北海帝国を打ち立てたが、その死後は崩壊。

以後、王統が続くが、この辺は省略。

1157年即位したヴァルデマー1世(大王)が王位争いを収拾、盛期を築く。

だが、13世紀半ばから再び100年続く衰退期に入り、東方植民ではドイツ人に後れを取り、経済的にはハンザ同盟の影響下に置かれる。

この形勢をヴァルデマー4世(再興王)が逆転したが、その末娘が高校世界史で唯一特筆大書されているマルグレーテである。

ノルウェー王に嫁していたマルグレーテは夫とデンマーク王の息子の死後、実質女王として君臨し、1397年からデンマーク・ノルウェー・スウェーデン三国から成るカルマル同盟(連合)を統治する。

しかし、間もなくイェリング朝は断絶、1448年ドイツ・ブレーメン近郊のオルデンブルク伯爵家からクリスチャン1世が王位に迎えられ、オレンボー王朝が生まれる。

その際、デンマークとドイツとの係争地であったシュレスヴィヒ(スリースヴィ)について、シュレスヴィヒとドイツ色の強いホルシュタインを分離しないという条件でクリスチャン1世がホルシュタイン伯爵の地位に就くという解決が成されるが、後世にも問題は続く。

1523年グスタフ・ヴァーサの反乱で、スウェーデンが分離独立。

ルター派プロテスタントが浸透、それに絡んだ内乱も起き、国教会が成立。

海峡通行税と穀物輸出で経済は成長。

だが、クリスチャン4世が三十年戦争に新教側で参戦し敗退すると、国運は衰退に向かい、北欧での優位をスウェーデンに奪われる。

戦争での貴族層の没落で、かえって王権は強化され、絶対王政が確立。

北方戦争ではロシアと結んでスウェーデンと戦い、一時窮地に立つが、挽回しノルウェーは保持。

ナポレオン戦争では、デンマーク艦隊がナポレオンに奪われることを恐れたイギリスが艦隊の引き渡しを要求したが、デンマークはこれを拒否、交戦状態に入り、図らずもフランス側に付くことになってしまう。

その為、戦後、フィンランドをロシアに割譲していたスウェーデンにその代償として、デンマークがノルウェーを譲渡するという形になり、450年に亘ったデンマーク・ノルウェー連合王国は終焉。

1849年自由主義的憲法制定。

1863年オレンボー朝断絶に当たって、列強の支持を得て傍系のグリュクスボー朝が成立、これが現在まで続く。

1864年プロイセン・オーストリアに敗れ、シュレスヴィヒ・ホルシュタインを割譲。

だがそれ以後、荒地開拓・農業協同組合結成・漸進的労使協調による国民経済の順調な発展、議会主義の定着という展開が見られたのは、誠に幸運なことだった。

デンマーク王家からは、ギリシア王ゲオルギオス1世として即位し、英国王エドワード7世と露帝アレクサンドル3世に嫁ぎ、1905年独立したノルウェー王にも迎えられた人々がいる。

第一次世界大戦では中立を守ったが、第二次世界大戦ではドイツに蹂躙され、戦後は中立政策を捨てNATOに加盟、1973年イギリスと共にECにも加わっている。

 

 

さすがに王名を詳細に覚えるのは厳しい。

上記のようなポイントだけつかめばいいでしょう。

中公新書から『物語デンマークの歴史』が出ないかなあと思いつつ、この記事を終えます。

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