万年初心者のための世界史ブックガイド

2018年3月30日

広瀬崇子 山根聡 小田尚也 編著 『パキスタンを知るための60章』 (明石書店)

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1947年イギリス統治下から、イスラム教徒が多数派の地域が、インドと分離した形で独立した国であることは周知のことでしょう。

パンジャーブ、シンド、バローチスタン、カシュミール、北西辺境州(アフガン寄りでパシュトゥン人居住)を主な構成州とする。

独立当初は現バングラデシュも東パキスタンとして領土の一部だった。

首都はイスラマバードで最大都市はカラチ、他にラホール、ペシャワルなどがある。

古代インダス文明の遺跡、モエンジョ・ダーロなどが存在するのは、現在のインドではなくパキスタンである。

公用語はウルドゥー語。

独立時、大規模な商業・産業都市を持たず、全インド・ムスリム連盟は国民会議派ほどの組織力も無く、インドのヒンドゥー教徒多数派地域から移住してきたムスリムが指導層となったこと、建国の父ジンナーが独立翌年の1948年に病死、後継のリヤーカット・アリー・ハーンも51年に暗殺されたこと、などが相俟って、曲がりなりにも議会制民主主義を維持したインドに比べて、国力の劣勢と政治の不安定に悩まされることになる。

1947年独立(直後に第1次印パ戦争)、48年ジンナー死去、51年リヤーカット・アリー・ハーン首相暗殺、ムスリム連盟の勢力が後退する中、58年軍事クーデタ勃発、アユーブ・ハーン政権樹立。

65年第2次印パ戦争、69年同じく軍事政権のヤヒヤー・ハーン政権成立、71年第3次印パ戦争で敗北、東部領土がバングラデシュとして独立。

民政に移管し、Z・A・ブット政権が誕生するが、77年再度の軍事クーデタ勃発、ジヤウル・ハク軍事政権が成立し、ブットは翌々年に処刑されてしまう。

88年飛行機事故でハク大統領死亡、総選挙でZ・A・ブットの娘B・ブットが首相に就き、シャリフと交替で政権を担当するが、民政は安定せず。

99年軍事クーデタでムシャラフ政権成立、2001年以後米国の対テロ戦争に協力。

政党では、ムスリム連盟(独立時のものとは直接的連続性はない)とパキスタン人民党(ブット派)が二大政党で、他にイスラム系政党が存在するが、一部を例外にして党首の個人的党派の色合いが濃く、組織的には脆弱と書かれている。

本書刊行後、2008年からは何とか文民政権が続いているようだ。

外交的には、インドとの対立関係が重くのしかかり、外交政策はそれに極めて多くが規定されてしまっている。

冷戦時代から米国など西側諸国に近い一方、中印国境紛争以後は、中国とも緊密な関係を保つ。

日本も、単細胞的な中国敵視が、自国の外交戦略にとってどれほどの重荷になるのか、自覚した方がいいと思います(服部龍二『日中国交正常化』)。

 

 

中公新書から『物語パキスタンの歴史』は未だ出ていないし、中野勝一『パキスタン政治史』(明石書店)は大部で通読に骨が折れるので、とりあえず本書から以上のような簡単な概要を読み取るだけでいいでしょう。

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