万年初心者のための世界史ブックガイド

2017年9月13日

ストリンドベリ 『恋の火遊び 令嬢ジュリー』 (中央公論事業出版)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 01:24

高校教科書ではゾラ、モーパッサン、イプセンと並んで自然主義文学者として名前が出てくるストリンドベリだが、文学全集への収録を除けば古い訳本しか無いと思っていた。

だが、調べてみると、2005年にこの本が出ていたことを知る。

ストリンドベリはスウェーデンの作家で、19世紀末から20世紀初頭にかけて活動。

本書の訳者は文学関係の人ではなく、元駐スウェーデン大使とのことで、ちょっと「うん?」となったが、訳文自体は極端に不自然だったり、全く意味の通らないところは無かった(たぶん)。

収録作のうち、「恋の火遊び」は、ある夫婦と友人を中心とするいくつかの三角関係の連鎖を描いたもので、特にどうと言うこともない。

だが、「令嬢ジュリー」の方は、極めて印象深い。

伯爵令嬢と使用人、料理女という、たった三人の登場人物で、男女の愛憎、身分・階級をめぐる葛藤を、これでもかというくらい鮮やかに描き出している。

さすが高校教科書にも代表作として載っているだけのことはある。

二作あわせても150ページ足らずなので、あっという間に読める。

「令嬢ジュリー」単独の新しい翻訳が見当たらないので、この本の価値は十分ある。

これだけでも読んで、著名文学者の名を読了リストに増やすのもいいでしょう。

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