万年初心者のための世界史ブックガイド

2017年7月2日

モンテスキュー 『法の精神』 (中公クラシックス)

Filed under: 思想・哲学 — 万年初心者 @ 04:46

これも全訳だと長い。

岩波文庫全3巻だが、読めないこともないかもしれない。

そんな気がする。

しかし無理をせず、この抄訳版に取り組んでみる。

「世界の名著」シリーズのモンテスキューの巻に収録されていたもので、原著の三分の一程度を訳出したもの。

うん、これは普通に読める。

三権分立論を説いた古典として、中学校教科書にすら載っている。

まず、全ての政治体制を三つに分類する。

そう言われると、ほとんどの現代人は、君主制、貴族制、民主制と挙げるはずである。

しかし、モンテスキューの分類は違う。

君主制、共和制、専制となる。

大概の人は「何か変だなあ、君主制と専制って似たようなもんじゃないの?」と思うかもしれない。

しかし、モンテスキューによると、前二者が穏和で正常な政治体制であるのに対し、専制は異常で劣悪な体制である。

共和制の中で、人民の一部が主権を持つものが貴族制で、人民全体に主権があるものが民主制。

君主制は一人による統治とは言うものの、法と慣習に則り、貴族や教会をはじめとする様々な中間団体に制約されたもの。

それに対し、専制は独裁的支配者による恣意的支配で、統治者以外は全て奴隷的存在であり、しかもその支配の緩みが即統治者自身の破滅に直結する、不安定かつ抑圧的な体制。

それぞれの体制は、共和制が「徳」、君主制が「名誉」、専制が「恐怖」という発条的精神を持つ。

同じ正常な体制でも、共和制は小規模で質朴な風習を持つ国にしか適合しないので、著者はフランスを含む君主制国家が専制に陥ることなく、抑制と均衡に基づいた国政を敷くことを願っている。

面白い。

同じ政治思想の古典でも、社会契約説の著作より、今読むとはるかに興味深い。

実質的に得るところが多い。

この抄訳でも読んでおけば、かなり有益。

普通にお薦めできます。

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