万年初心者のための世界史ブックガイド

2017年4月6日

ジョン・ロック 『市民政府論』 (光文社古典新訳文庫)

Filed under: 思想・哲学 — 万年初心者 @ 05:58

はるか昔、学生時代に岩波文庫版を通読済み。

もう記憶も完全に薄れているので、この新訳で再読。

他に中公クラシックスにも収録されているが、訳は「世界の名著」シリーズからのもので、新しくはない。

あと、現在の岩波文庫には第一篇も含めた新しい全訳が収録されています。

最近の邦題は『統治論二篇』としている場合が多いが、この訳書は昔ながらのタイトルを採用している。

読んでみましたが・・・・・予想通り全然面白くない。

難解で何を書いてあるのか分からない、ということはない。

初心者でも多少の忍耐を持ってすれば、普通に読める。

だが内容的には感心したり、心に残るところはほとんど無い。

家父長権からの類推を根拠に絶対君主制を擁護するフィルマーら王権神授説論者への批判に説得力を感じないでもないが、歴史上実際の「絶対王政」は諸身分の様々な特権によって制約され、恣意的な独裁権力には程遠かったわけですから。

「自然状態」と「社会契約」という仮構に基づき、平等な原子的個人からのみなる社会を目指した近代の果てに何があったか。

ロックの叙述から「多数の専制」への懸念がほとんど感じられないことに改めて驚く。

自由で平等な個人の多数派が易々と低劣・野蛮な狂信に囚われ、いかなる世襲君主も及びもつかないほどの圧政を敷く独裁者を生み出すことになるとは、ロックには想像だに出来ないことだったんでしょうか。

「自由民主主義の標準的テキストブック」という以上の印象を持つことは難しい。

高校・大学で学んだ内容を原典に当たって確認することに多少の意味はあるでしょうが、まあそれだけですね。

訳文は流暢で読みやすいが、解説は特にどうと言うこともない。

むしろ、ロックを現在のリバタリアニズムの祖として評価するかのような記述は、正直ちょっと気持ち悪いです。

まあ、これだけ有名な著作ですから、知的見栄の為に一読しておくのも決して悪くないでしょう。

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