万年初心者のための世界史ブックガイド

2016年10月20日

小川了 編著 『セネガルとカーボベルデを知るための60章』 (明石書店)

Filed under: アフリカ — 万年初心者 @ 16:38

「エリア・スタディーズ」というシリーズ名と「~を知るための○○章」というタイトルで、ものすごい数がこの出版社から出ている。

第一弾として、これを選ぶ。

セネガルは、アフリカ西端にある国。

首都はダカールという結構有名な都市。

主要民族はウォロフ人など。

国民の95パーセントがムスリムというイスラム国家だが、さほど厳格な戒律が施行されているわけでもない。

西は大西洋に面し、北はモーリタニア、東はマリ、南はギニアとギニア・ビサウに接する。

そして国の中を流れるガンビア川流域は、ガンビアという別の国家になっている。

型抜きされたみたいで、何とも妙な感じ。

セネガルが旧フランス領だったのに対し、ガンビアは旧イギリス領、英仏間の領土交換による併合や、独立後の国家統合が模索されたこともあるが、結局現状のままになっている。

1444年ポルトガル人が到達。

1659年フランスがサン・ルイに、1677年ゴレ島に拠点建設、ゴレ島は奴隷貿易の基点となる。

七年戦争で一時イギリスが奪取するが、アメリカ独立戦争で返還。

19世紀後半、第二帝政下、総督フェデルブが内陸部を平定、1886年カヨール王国のラット・ジョール王が仏軍により殺害、同世紀末には完全植民地化。

アフリカ黒人で初めてフランス国会議員になったブレーズ・シャーニュらの運動を経て、「アフリカの年」1960年に独立。

初代大統領はサンゴール。

この人名は憶えましょうか。

フランス語による著名な詩人であり、「ネグリチュード」(黒人性復権)運動の主唱者でもある。

新興独立国の多くの政治指導者が、急進的な内外政策に傾き、ソ連など東側諸国に接近したのに対し、サンゴールは穏健派として親仏親西側路線を貫いた。

ただし、内政では当時の主流思潮と言える「アフリカ社会主義」を唱え、「社会主義というよりも、未熟な資本主義を食いつぶす寄生的官僚主義の体制を生み出した」という、第三世界の国で非常によくあるパターンに陥ってしまったようだ。

サンゴールは1980年まで大統領の職にあったが、まあ他の国の惨状に比べれば、その業績はまだ肯定的に評価できる方か。

 

本書から読み取ることは、以上でいいでしょう。

アフリカの西端にあって、フランスの元植民地で、首都がダカールで、イスラム教国で、「独立の父」がサンゴールで、親西側路線を取った人物だった、とこれだけで十分。

 

次のカーボ・ヴェルデ。

セネガルの沖にある島国。

要は、国名はヴェルデ岬(「緑の岬」)のことで、それが島国なのに国名になった。

1460年ポルトガル人が到達した時点では無人島。

アンゴラ、モザンビーク、ギニア・ビサウと共に、アフリカで最後に残った植民地帝国であるポルトガル領の一部であり、1974年ポルトガル本国の反サラザール政権クーデタの後、1975年独立。

マルクシズムの影響の強い勢力が政権を握ったが、幸いさほど教条的政策は取らず、1990年後は一党独裁制は廃止され、平和的政権交代が実現しているようだ。

この国について憶えることは、地理的位置と、他のアフリカ諸国から遅れて、ポルトガルから70年代半ばに独立した、ということだけ。

 

 

歴史に関する章だけ集中して読み、後は軽く流していいでしょう。

通読する必要は必ずしもありません。

そこそこ役に立つ本ではあります。

広告

WordPress.com Blog.