万年初心者のための世界史ブックガイド

2016年7月12日

エラスムス 『痴愚神礼讃』 (中公文庫)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 04:17

2014年刊の新訳。

トマス・モアに捧げた序文とホルバインの挿画が付いている。

原文はラテン語で、エラスムスはその全作品をラテン語で書いているという。

こんなに短い作品だったのか、というのがまず第一印象。

一日で読める。

痴愚女神による自己弁護という形式を借りて、教会の腐敗・堕落を攻撃した作品と言われるが、それは後半部で、前半では社会の各層をギリシア・ローマの古典章句を多く散りばめながら辛辣に皮肉り批判している。

読んでいて、それらを痛快に感じる面も確かにあるが、その後エラスムス自身が宗教改革とカトリック教会の板挟みになって苦悩したことを思えば、やや性急で一方的な批判に感じられないこともない。

ただ、キリスト教の教えに背き、戦争という手段を採ることを厭わない教皇庁を批判した著者の平和主義には心を打たれる。

(以前ならこんな感想は抱かなかったでしょうが、世の中も自分も大きく変わりました。)

特に面白いわけではないが、これだけ著名な古典でありながら、通読難易度は極めて低いので、機会があれば手に取ってみるのも良いでしょう。

広告

WordPress.com Blog.