万年初心者のための世界史ブックガイド

2016年7月4日

アンドレ・マルロー 『征服者』 (角川文庫)

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果敢な政治的行動によって有名な作家。

コミュニズムに接近し、初期の中国革命に参加、反ファシズムを訴え、スペイン内戦にも義勇軍として参戦するが、独ソ不可侵条約を見て、コミュニズムと訣別、第二次大戦中は対独レジスタンスに身を投じ、戦後はド・ゴールの熱烈な支持者となり、一時文化相として入閣もしている。

この作品は著者がまだ左翼的姿勢を保っていた時のもので、中国を舞台にしたもの。

1925年の五・三〇事件を描いている。

私は1927年上海四・一二クーデタを扱ったものと勘違いしていたが、それは『人間の条件』の方だった。

上海における排日民族運動が徐々にイギリスに標的を移し、前年成立した第一次国共合作に後押しされ、大々的な反英民族運動に発展したが、その香港・広東での出来事が題材。

一人称の語り手は、コミンテルンから派遣された実在の人物であるボロディン、ガレンと共に国民党の外国人顧問となり、革命闘争を展開、イギリス当局、地方軍閥、党の急進化を恐れる国民党右派と対決する。

(ちなみにこの時期の蒋介石はむしろ国民党左派の軍人として姿を見せる。)

主人公らは、同志であるボロディンらソ連人顧問に腐敗と専制の臭いを嗅ぎ付けるが、一方より極左的で無差別的な暗殺も辞さないアナキスト的テロリストの反抗にも手を焼く。

結局主人公を動かしているのは、アクティヴ・ニヒリズムといったようなものか?

よくわからないし、共感もできない。

革命が高潮期を迎えるところで物語は幕を閉じる。

さすが著名な文学者だけあって、このような傾向の作品でも政治的教条主義を感じさせるようなことは無かったが、しかしあまり面白いとも思えない。

読了リストに書名を追加できたことだけが収穫です。

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