万年初心者のための世界史ブックガイド

2016年3月18日

中公旧版「世界の歴史」について

Filed under: おしらせ・雑記, 全集 — 万年初心者 @ 05:51

貝塚茂樹  『1 古代文明の発見』  4 易

村川堅太郎 『2 ギリシアとローマ』  4 易

堀米庸三  『3 中世ヨーロッパ』  4 易

塚本善隆  『4 唐とインド』  2 中

岩村忍   『5 西域とイスラム』  2 易

宮崎市定  『6 宋と元』  5 易

松田智雄  『7 近代への序曲』  2 易

大野真弓  『8 絶対君主と人民』  2 易

田村実造  『9 最後の東洋的社会』  3 易

桑原武夫  『10 フランス革命とナポレオン』  1 易

中屋健一  『11 新大陸と太平洋』  2 易

井上幸治  『12 ブルジョワの世紀』  1 易

中山治一  『13 帝国主義の時代』  2 易

江口朴郎  『14 第一次大戦後の世界』  2 易

村瀬興雄  『15 ファシズムと第二次大戦』  3 易

松本重治  『16 現代 人類の岐路』  2 易

 

私にとってすべての基本となるシリーズです。

世界史関係の書籍を読み漁るようになった、ごく初期に通読したこともあり、個人的には最も印象深く、愛着もあります。

そういう個人的事情抜きでも、このシリーズはまさに基本書の名に相応しいと思われます。

政治史を中心に据え、そこで活躍する個性を描写し、様々な興味深いエピソードを積み重ねて、物語としての歴史を叙述していく。

社会史、生活史、心性史などが重視される現在の史学からすれば、時代遅れと言えばその通りだし、古臭いと言えばこれほど古臭い形式もない。

だが、そもそも歴史の原初形態は文学と融合した物語であったろうし、全くの初心者が最初に接するものとしては、この種の歴史が最も適していると思う。

1960年前後の刊行と、何しろ半世紀以上前のシリーズであるから、その短所や欠落を挙げることは極めて容易である。

インド史を少し付け加えつつも、ほぼ中国史に限られる「東洋史」と欧米主要国のみの歴史を切り貼りした「西洋史」の二本立て。

西アジア史、中央アジア史は当時の研究水準もあって極めて手薄であり、もちろんアフリカ史は影も形も無い。

アフリカ史はともかく、東南アジア史が全く割愛されているのには、半世紀前とは言え、驚きである。

近現代史のかなりの部分に昔ながらの左派的偏向が見られるし、その事は各巻の記事でも指摘しています。

だが、そのような欠点を勘案しても、物語としての面白さがすべてをカバーしてくれます。

現在の中公文庫には新版の方の「世界の歴史」が収録され、以前文庫化されていたこの旧版は絶版となっています。

そうである以上、このシリーズが再び新刊ルートで販売されることは事実上無いと言うしかないんでしょう。

しかし、同じ60年代に出た「日本の歴史」は新装版に衣替えした上で発売されています。

それを思うと、こちらはなぜ復刊してくれなかったのかと感じることもあります。

いかに古びた面があるとは言え、いやだからこそ初心者にとって効用が高いシリーズとなっているからです。

ただ、幸い公共図書館で収蔵されている率は極めて高いでしょうから、手に触れることは比較的容易だと思います。

未読の方には、全巻通読するつもりはなくとも、興味のある巻だけでも、気軽な気持ちで手に取ることをお勧め致します。

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