万年初心者のための世界史ブックガイド

2015年11月6日

福田紀一 『おやじの国史とむすこの日本史』 (中公文庫)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 07:15

1977年中公新書で刊行、2012年文庫化。

1979年第一回サントリー学芸賞受賞。

戦後30年を経た時点での歴史教育をめぐる随想。

戦前の「国史」教育では、皇国史観と抵触する、崇峻天皇弑逆や聖徳太子の豪族対策などは教えられていなかった。

そういえば別の本でも、戦前の教科書では壬申の乱が載っていなかったと読んで驚いた記憶がある。

ただ、高坂正堯氏がどこかで、戦前も教育に制約はあっても歴史研究は比較的自由だった、歴史は制限が無ければ無条件で真実が見えてくるというものではない、と書いており、それに共感したのを覚えているが、やはり問題はあったんでしょう。

北条氏や足利氏を頭から否定的に評価するなど。

なお、1970年代の受験日本史についての章で、当時の難問奇問が紹介されているが、これがすごい。

司馬江漢の銅版画代表作は何か?(不忍池図[しのばずのいけず])、東大寺大仏の造仏技術者は誰か?(国中連公麻呂[くになかのむらじきみまろ])、民法典論争で穂積八束と対立したのは誰か?(梅謙次郎)とか、正気とは思えない例がどんどん出てくる。

一方、こうしたクイズ式問題への反動で、論文形式問題への信仰も批判している。

あと戦争体験と歴史、郷土史(地域史)の重要性などが内容。

気軽に読めてあっという間に読了できる。

図書館にあったら借りてみて下さい。

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