万年初心者のための世界史ブックガイド

2015年8月18日

ジェームズ・M・バーダマン 『アメリカ黒人の歴史』 (NHKブックス)

Filed under: アメリカ — 万年初心者 @ 09:02

この手の本としては、本田創造『アメリカ黒人の歴史』(岩波新書)などが類書か(かなり古いが)。

まず冒頭で用語の話。

アメリカ黒人を指す呼称として、以前はニグロが使われるのが一般的。

あるいはカラード・パーソンも。

代表的な黒人団体、「全米黒人地位向上協会」は National Association for the Advancement of Colored People :NAACP である。

それが、公民権運動を経て、アフリカン・アメリカン、ブラックアメリカン、ブラックスに変わる。

一方、「ニガー」という言葉は最も蔑視的でタブーとなっている。

ヨーロッパの加工品、アフリカの労働力、アメリカの原材料の三角貿易で黒人奴隷がアメリカに流入。

18世紀末、ホイットニーによる綿繰り機発明と南部綿花栽培の繁栄が、不幸にして一時下火だった奴隷需要を高めた。

なお、奴隷貿易自体は19世紀初頭に禁止され、奴隷の新規流入は停止しており、それ以後の奴隷廃止論争はすでに国内にいる奴隷とその子孫をめぐるものだったことは、しっかりと意識しておく。

本書では、教科書的には有名なミズーリ協定、カンザス・ネブラスカ法などの記述は省略されている。

南北戦争後、黒人に与えられたはずの投票権が骨抜きになる。

南部で依然続いた人種隔離制度は、白人が演じた滑稽な黒人キャラクターから「ジム・クロウ」制度と呼ばれる。

これは初めて聞く名称だ。

19世紀末、まず経済的地位向上を目指す融和的・漸進的な黒人運動家ブッカー・ワシントンが現われ、それに対して政治的急進的なW・デュボイスが対峙。

20世紀半ばの公民権運動でも、穏健派・主流派のマーティン・ルーサー・キング牧師と急進的なブラックパワー運動と「ネイション・オブ・イスラム」を率いたマルコムXがいる。

アラバマ州のバスボイコット運動、アーカンソー州のリトルロック高校入学問題、1963年ワシントン大行進、64年公民権法、65年投票権法と運動は進展するが、65年ロサンゼルスのワッツ暴動とマルコム暗殺、68年キング牧師暗殺(同年ロバート・ケネディも暗殺)と暗い事件も相次ぐ。

積極的差別是正のための優遇措置であるアファーマティブ・アクションが導入され、73年にはロスで黒人市長が誕生、89年には黒人州知事も生まれるが、アファーマティブ・アクションを逆差別だとする保守層の反発も80・90年代には生まれた。

92年ロス暴動は個人的に報道を覚えているし、2009年オバマの大統領就任はまだ記憶に新しい。

特にこの本を薦めるわけではないが、一般常識として知っておくべきことが適度に触れられており、そこそこ有益。

こういう本も一冊くらいは読んでおくべきでしょう。

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