万年初心者のための世界史ブックガイド

2015年7月29日

渡邉義浩 『関羽  神になった「三国志」の英雄』 (筑摩選書)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 05:06

著者名に見覚えがあると思ったら、『儒教と中国』(講談社選書メチエ)の著者だった。

「関帝」という信仰対象になった原因についての本。

日本での定番、吉川英治『三国志』は曹操と孔明中心。

「本場」中国での毛宗崗版『三国志演義』は、「奸絶(絶=きわみ)」の曹操、「智絶」の孔明、「義絶」の関羽中心。

韓国では、壬辰の乱での明援軍によって国王に関帝廟礼拝が強要されたので、関羽よりも趙雲に人気がある。

中国以外では華人ネットワークによる信仰も広まる。

本書1章は三国志と演義概観、2・3・4章は関羽の生涯、5~8章は関帝信仰の展開。

正史『三国志』は魏正統、『演義』は蜀正統、司馬光は魏正統、朱熹は蜀正統。

『演義』をまとめた毛綸・毛宗崗父子は康煕年間の人物。

関羽の出身は山西省解県、塩池で有名。

天下の勇将だが、呂布には劣るとの評あり。

三国分立を導いた呉蜀の同盟においては呉の魯粛がキーパーソンであり、その死後呉蜀は決裂、そのあおりで関羽も死ぬ。

なお、それ以前に曹操に降伏した後、劉備の下に戻った関羽を称える文脈で「呉三桂は康熙帝に殺害されている」(79ページ)とあるが、三藩の乱を起こした直後の病死では?

関羽は唐代に仏教神として祀られ、宋代には王朝から王号・神号が与えられ、南宋では朱子学が蜀正統論を唱え、明清代には出身地の山西商人が台頭し信仰を広める。

当初道教世界の支配者として扱われていたが、清代には儒神として崇拝。

王朝側だけでなく、白蓮教・天理教・天地会など反乱者側も信仰。

海外華人の信頼協力関係確立の手段として関帝信仰が行われる。

 

特筆すべき点は無いが、読みやすい。

二日あれば十分。

前半を読むと『三国志蜀書』を読み返したくなりました。

広告

WordPress.com Blog.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。