万年初心者のための世界史ブックガイド

2015年6月27日

アレクサンドル・デュマ 『王妃マルゴ  上・下』 (河出文庫)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 09:33

フランス・ロマン派のベストセラー作家。

ただし、高校世界史では名前が出るか出ないか、微妙な所。

『モンテ・クリスト伯』が代表作なんでしょうが、岩波文庫で全7冊と長過ぎる。

『三銃士』はそれより短いが全く興味が持てないので、より史実に密着した歴史小説である本書を選んだ。

『モンテ・クリスト伯』を、大長編でも『レ・ミゼラブル』『戦争と平和』と同じ価値がある作品なので読むべきだ、という人はまさかいないでしょうし。

16世紀後半のフランス、ユグノー戦争を背景にした作品。

絢爛豪華なルネサンス君主フランソワ1世の後をアンリ2世が継ぐが、不慮の死を遂げ、アンリとカトリーヌ・ド・メディシスとの子、フランソワ2世・シャルル9世・アンリ3世、さらに末弟アランソン公フランソワが残される。

本書で描かれるのはシャルル9世時代で、アンリ3世は当時アンジュー公、さらに一時(1573~74年)ポーランド王にもなっている。

1572年、彼らの妹マルグリット(マルゴ)と新教徒のナヴァール王アンリ(のちのブルボン朝創始者アンリ4世)との政略結婚から物語は始まる。

ナヴァール王アンリは、母はフランソワ1世の姉の子ジャンヌ・ダルブレ、父はルイ9世の一子から出たブルボン家出身。

その結婚時、有名なサン・バルテルミの虐殺が勃発、ユグノー指導者のコリニー提督らが殺害される。

ナヴァール王とマルゴは男女の愛情は無くとも、共に協力し信頼しあうパートナーとして結ばれ、マルゴは、執拗に娘婿を亡き者にせんと企む母カトリーヌからナヴァール王を守ろうとする。

(なお、ルイ13世はアンリ4世と別の妃との子で、マルゴの子ではない。)

他に、気まぐれで不安定な性格で、ユグノーを残酷に弾圧すると思いきや、一転ナヴァール王に好意的にもなるシャルル9世、王位をうかがう弟のアンジュー公アンリとアランソン公フランソワが入り乱れて話が展開していく。

ただ旧教徒の首領として有名なギーズ公アンリは途中からほとんど登場しなくなる。

アンリ・ド・ナヴァールが韜晦と忍耐でどうにか宮中での危地を逃れる様が描かれる。

サイド・ストーリーとしては、一時憎しみ合い剣を交えた新・旧教徒の二人の貴族の友情も。

 

物語の展開の速さと巧みさは特筆もの。

同じフランス・ロマン派のユーゴーにも匹敵する。

素晴らしく面白い。

ラストはアンリ4世の即位まで行かず、ややあっけない印象だが、それを差し引いても最高。

読んで良かった。

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