万年初心者のための世界史ブックガイド

2015年5月4日

バルザック 『従妹ベット 上・下 (バルザック「人間喜劇」セレクション11・12)』 (藤原書店)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 16:54

スタンダールの作品で『赤と黒』の他に『パルムの僧院』を、フロベールの作品で『ボヴァリー夫人』に加えて『感情教育』を読んだが、それらよりもずっと素晴らしいと感じた『ゴリオ爺さん』のバルザックを、その一作しか読まないのもどうかと思い、翻訳も新しいこれを選んだ。

七月王政下のパリが舞台。

好色で自堕落なエクトール・ユロ男爵と貞淑で美しい妻アドリーヌ、ユロの息子ヴィクトラン、娘のオルタンスがまず登場。

アドリーヌの従妹で不器量なオールドミスのリスベット(ベット)が密かな嫉妬と憎しみの感情を募らせ、ユロ一家を破滅させようとたくらむ。

かつてベットが保護していたポーランド亡命貴族で芸術家気取りのヴェンセスラス・シュタインボックをオルタンスが奪い、夫にしたのも復讐の一因。

他に俗悪なブルジョワでヴィクトランの舅クルヴェル、悪辣な素人娼婦でベットと組むヴァレリー・マルネフ夫人などが絡む物語。

夫の破滅的愚行で没落し、苦しめられるアドリーヌだが、結果としては、ベットの復讐は失敗し、ヴァレリーは悲惨な最期を迎え、ベットも失意のうちに死ぬ。

それで目出度し目出度しかと思いきや、物語のラストにとんでもない結末が準備されている。

この救いの無さは凄い・・・・・。

 

最高に面白い。

テンポの速いストーリー展開は全く飽きさせない。

金銭勘定以外の全ての価値観が溶解し、あらゆる階層を腐敗と愚行に導く近代社会の実像を完璧に描いている。

やはり素晴らしい。

二作しか読んでいないが、バルザックは本当に性に合います。

機会があれば、他の作品も読んでみたい。

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