万年初心者のための世界史ブックガイド

2015年4月23日

ドストエフスキー 『白痴 全3巻』 (河出文庫)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 05:24

作者が「真に美しい肯定的な人間」を描くことを目指して書いた作品。

純真でいかなる悪意も持たず、謙譲の気持ちを強く持ちつつ、バランスの取れた自尊心も失わないという理想的人物であるムイシュキン公爵と不幸な美女ナスターシャ、将軍令嬢アグラーヤとの三角関係を軸にした家庭恋愛小説の形式を持った長編。

ドストエフスキーの「毒」はやや薄めだが、それでも西欧由来の自由と市場という価値に浸食され、拝金主義と世論の支配によって伝統・慣習への確信を失い、無秩序化に向かいつつ、ついにはそれとは正反対の抑圧へ飛び込むという破滅に近づきつつある19世紀後半のロシアが作品の背景に浮かび上がってきます。

人間関係がつかみにくく、ややダレる部分もあり、やはり『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』はもちろん『悪霊』とも同列には扱えないと思ってしまい、事前の予想よりは面白くもなく、通読に手間取った。

とは言え、名作の一つであることには違いないでしょう。

これでドストエフスキーの五大長編のうち、四つを読破したことになる。

普段の自分の読書量からしたら考えられないですね。

さすがに残りの『未成年』は読まないかもしれないが、それでも自分としては特筆すべきことです。

加えて、『死の家の記録』や『賭博者』、『永遠の夫』などを読めば、主要作品はほぼ全て読んだことになりますね。

私にとってやはりドストエフスキーとシェイクスピアは別格なんだと思います。

両者とも、文学的感性の無い自分でも、その魅力が十二分にわかる作家です。

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