万年初心者のための世界史ブックガイド

2015年3月12日

ブレヒト 『肝っ玉おっ母とその子どもたち』 (岩波文庫)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 06:51

『三文オペラ』の方が有名で代表作だろうが、読みやすそうなので、こちらを選んだ。

三十年戦争中の従軍女商人とその3人の子供たちを描いた戯曲。

何とも言えない哀感を与えて、戦争の悲惨さをしみじみと感じさせる筋立て。

なお作者は左翼的な演劇人で、戦後東ドイツを拠点に活動したため、以前は「結局、共産政権の御用文化人じゃないか」との悪いイメージを持っていた。

しかし、本書の末尾にある略年譜によれば(没年は1956年)、ナチから逃れる際、親しかった女優が大粛清中に行方不明になっていたのでソ連への亡命は避けたとか、戦後も共産政権の文化政策との軋轢が絶えなかったとか、1953年スターリン死亡後起こった東ベルリン・東ドイツ暴動では政権党たる社会主義統一党への原則的支持だけでなく、それへの批判的提案も行っていたのに、党機関紙が後者を無視し前者のみ報道したので、西側諸国から囂々たる非難を被ってしまったなどの事実が書いてあって、参考になった。

内容的にはなかなか良い。

とりあえず20世紀の名の知れた劇作家作品に気軽に触れられるという点では有益でしょう。

広告

WordPress.com で無料サイトやブログを作成.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。