万年初心者のための世界史ブックガイド

2015年1月14日

ゴーリキイ 『どん底』 (岩波文庫)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 16:38

世界文学の一つの頂点たる19世紀ロシア文学に続けて、この人の名が昔の教科書では出てました。

その代表作がこれ。

下層社会の悲惨な実情を描いた戯曲。

登場人物が多く、一貫した筋に乏しいので雑然とした印象が拭えない。

第三幕の終わりの流れには迫力があり、末尾第四幕ラストシーンは衝撃的ではある。

学生時代以来の再読ですが、当時と同じく、今読んでもさして面白いものではない。

巡礼者でルカという名の人物が印象的かつ好意的に描かれているような気もするが、一方で信仰に捕らわれない自由な人間を礼賛するような科白もある。

しかしそのような幻覚に身を任せた結果、ツァーリズムとは及びもつかないほど恐ろしい抑圧が人民の名の下にロシアに加えられ、それによって作者自身も破滅させられたわけです。

政治的なことに引き付けて文学作品の価値を決定するのは基本的に馬鹿げてますし、大昔の「ソヴィエト文壇の巨匠」という評価の反動で、逆に一顧だにしなくなるのも間違いでしょうが、現在必読の古典と言えるかは躊躇する。

「面白くなくてもネームバリューだけで読んでおくべき本」もあるが、本書はもはやそれに当てはまらないかなという気がします。

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