万年初心者のための世界史ブックガイド

2014年11月22日

中谷巌 『資本主義はなぜ自壊したのか』 (集英社文庫)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 07:40

直接的には世界史に全く関係無いが、いつものことですのでご容赦を。

構造改革、規制緩和政策の旗振り役だった経済学者が、リーマン・ショック後に書いた転向の書。

前半三分の一ほどのみ精読。

内容は、新自由主義とグローバル資本主義批判。

情報の不完全性を利用し、社会的強者が情報を自ら創り出し、自己実現的予言を成就させ、私的利益を欲しい侭にする。

財力による政治の支配と言論の自由の形骸化が進行し、手続き上は民主的だが、ごく少数の富裕層優遇政治が続く。

(個人的には、それは真の民主主義が損なわれているというより、所詮民主主義とはそのようなもので、不可避な成り行きに思える。)

IT革命による情報の共有といっても、それで広まるのは、データ的な形式知のみで文脈的な暗黙知はネットには載らない。

政治による規制・監督を逃れるグローバル資本は、バブル破裂後の恐慌と格差拡大、環境破壊をもたらす「悪魔のひき臼」(ポランニー)だ。

こうした前半部の論調自体には全く違和感無し。

ただ、後半の文明論は少々感心するところもあれば、やや首を傾げる部分もあり。

経済学批判としては、西部邁氏や佐伯啓思氏、中野剛志氏の本の方がいいと思います。

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