万年初心者のための世界史ブックガイド

2014年11月7日

トルストイ 『戦争と平和  全6巻』 (岩波文庫)

Filed under: ロシア, 文学 — 万年初心者 @ 07:21

説明不要の有名な古典。

この版は2006年頃刊行の新訳。

途中で訳者によるコラムが挿まれている。

全6巻で、各巻が中編小説並みの長さなので、気ばかりあせって細かな描写を味わう余裕なんて無い。

冒頭からかなりだるい。

19世紀初頭のロシアの貴族社会全般を描くのだが、かなり退屈。

アウステルリッツの戦いの描写は中々の迫力だが、ちょうど真ん中あたりからはものすごく大雑把なあらすじだけつかめればいいやという気分になり、かなり粗いとばし読みになった。

実はそこで一回挫折してます。

最近はかなりの数の文学書を読了できていたのですが、さすがにこれは長すぎました。

かなり自信を失ってしまった。

ですが、もう一度気合を入れ直して、最初から読み始めました。

主要登場人物は、まずピエール・ベズーホフ、アンドレイ・ボルコンスキー、ニコライ・ロストフの三人、そしてアンドレイの妹マリア、ニコライの妹ナターシャ。

他に当時の上流階級の堕落した悪しき側面を象徴するワシーリィ・クラーギン公爵家の人々。

歴史上の実在人物では、ナポレオン、アレクサンドル1世、クトゥーゾフ、バグラチオン(後ろの二者はロシアの将軍)等が描かれている。

私は、他の文学ジャンルに比べて、歴史小説や史劇はまだ読み易く感じる方だが、それでもこれだけの大長編となるとやはり苦しい。

トルストイの歴史観を説いた非小説的部分よりも、貴族社会の各一家の生活を長々と描写した部分がキツイ。

なお、偉人・英雄の自由意志で歴史が創られるのではなく、複雑で捉えがたい必然こそが歴史の原動力であり、人々はその道具に過ぎないというのがトルストイの史観。

それを理解しないナポレオンと、登場する実在人物としては唯一それを理解していたクトゥーゾフが対比して描かれている。

ナポレオンのロシア遠征失敗を経て、物語の末尾ではデカブリストの乱が暗示されている。

あとよく言われるように、エピローグ後半でのトルストイ自身の史観説明部分は蛇足の感がある。

何とか通読した・・・・・・。

より分量が多いのを勘案しても、『カラマーゾフの兄弟』のような凝集力が無いから、本書の方が通読ははるかに難しい。

しかも3週間から1ヵ月かかりきりになる。

とりあえず読み通したことで、難解な思想小説や言語実験めいた小説でない限り、大概の文学書を読了できるという自信はついたが、さすがに疲れました。

そして、ストーリーの展開に手に汗握って目も離せない程のめり込むことも無かったし、トルストイの歴史観に深い感銘を受けるということも残念ながら無かった。

これが私の限界です。

とてもじゃないが、「さあ、次は『アンナ・カレーニナ』だ」なんて気分にはなれませんでした。

これも、読了したという事実が最大の収穫です。

それだけでも自分を誉めたい。

しかし残念ながら、私にはこの永遠の傑作の真価を理解する能力はありませんでした。

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