万年初心者のための世界史ブックガイド

2014年4月5日

チェーホフ 『桜の園』 (岩波文庫)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 05:02

絢爛豪華で質実重厚な19世紀ロシア文学の最後の大立役者というべきチェーホフの代表作。

学生時代に旧訳で通読していたが、この度新訳で再読してみた。

最初の凡例で、「人名表記はできるだけ短く、なるべく一人一つにしている。たとえばラネーフスカヤ夫人はしばしば『リュボーフィ・アンドレーヴナ』と呼ばれるが、この呼び方にこめられる敬愛の情は、日本語の場合、全体の言葉づかいによって表現しうるからである。」と書かれている。

個人名とその愛称、「父称」の存在、姓の女性形への変化など、初心者がロシア文学を読む際にネックとなる事情がクリアされて、これはかなり良いと思った。

本作の登場人物は、没落地主貴族のラネーフスカヤ夫人と父の代までその農奴だった成り上がりの実業家ロパーヒンが中心。

チェーホフ自身は、この作品は悲劇ではないと語っていたそうだが、やはり滅びゆくものへの哀感が強く感じられる。

内容的には、いろいろな読み方があると思うが、旧体制の悪は見逃されていないまでも、個人的にはやはりロパーヒンの言動への少々の嫌悪は、どうしても抑えきれないものがある。

とてつもない感動を味わう、という印象は無いが、これは再読する価値は充分あった。

お勧めします。

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