万年初心者のための世界史ブックガイド

2014年2月17日

アリストパネース 『雲』 (岩波文庫)

Filed under: 文学 — 万年初心者 @ 04:22

アリストファネスが活動した当時のアテネで跋扈していたソフィストを真正面から批判した作品。

詭弁を弄し、デマゴーグとして国政まで動かしていた、それら醜悪な連中を散々に揶揄する記述は痛快である。

より具体的に、当時実在の有力政治家クレオンへの非難もある。

議論の正邪・真偽・善悪を問わず、ただ勝ち負けだけにこだわる詭弁家どもが大手を振ってまかり通る状況を見ると、伝統・信仰・常識が潰えた後での「言論の自由」の空しさと表面的多数決制の弊害がつくづく感じられる。

以上の主題は心から共感できるものなのだが、しかし、その卑しいソフィストの代表として、よりにもよってソクラテスを槍玉に挙げるのは、勇み足であり、とんでもない誤解としか言いようが無い。

そうした瑕疵はあるものの、面白く読めて、なおかつ深い内容を持つ本。

強くお勧めします。

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