万年初心者のための世界史ブックガイド

2013年9月10日

白戸圭一 『日本人のためのアフリカ入門』 (ちくま新書)

Filed under: アフリカ — 万年初心者 @ 15:23

純粋な史書ではないが、少しでも手薄なカテゴリを補充するために・・・・・と、これじゃ服部正也『ルワンダ中央銀行総裁日記』(中公新書)と同じ口上だ。

著者は毎日新聞の記者の方。

日本人のアフリカ認識の歪みや固定観念の再検証を促す本。

体系的な構成にはなっていないが、有益な本。

第1章、あるバラエティ番組から見て取れる、日本人のアフリカへのステレオタイプを指摘。

海外メディアの日本報道を見て、酷いなと思うことはもちろんあるが、日本人自身の外国観もあまりにしばしば固定的イメージに囚われたものが多いと自省させられる。

第2章、アフリカ報道の検証。

少し前の新聞紙上でよく報道されていたテーマである、スーダンのダルフール問題、ジンバブエのムガベ政権による土地収用とハイパーインフレなどについて。

もう一つ挙げられている例が、ケニア大統領選挙における不正と混乱についての報道。

アフリカでの政治紛争に関して、極めて頻繁に持ち出される「部族対立」というステレオタイプを指摘し、このケニアの場合、キクユ人vs他民族という図式で単純化できない状況であるとしている。

ここの説明はわかりやすく、とても鮮やかに感じる。

第3章、日本のアフリカ外交。

日本が主導して、1993年初めて開催された、アフリカ開発会議「TICAD」について。

以後も5年ごと開催。

今年も確か開催されて、ニュースになってましたかね。

続けて、中国の外交的浸透と2005年の国連安保理改革の失敗。

1963年アフリカ統一機構(OAU)とそれが発展的に解消して2002年に結成されたアフリカ連合(AU)は、しっかりチェック。

なお、AUにはモロッコだけが加入していないそうである。

これは西サハラ問題からか?

教科書や史料集に載ってるような地図では、南西アフリカにある、独立前のナミビアがそうだったように、西サハラは白地になってますね。

第4章、アフリカを参照した日本の姿、鏡としてのアフリカ。

かつて著者が赴任・駐在していた南アフリカ共和国を例に挙げる。

確固たる地域大国であり、サハラ以南のアフリカのGDPのうち、一国だけでその4割を占めるそうだが、一方で経済的格差の拡大、汚職、治安悪化などの問題がしばしば伝えられる。

ここで著者が示すデータや、その感想は非常に面白く興味深い。

最後の「アフリカについて勉強したい人のための10冊」も良い。

初心者向けに、思い切って冊数を絞っているのが非常に適切。

その中には、最初に該当記事をリンクした『ルワンダ~』と『新書アフリカ史』(講談社現代新書)があった。

たまたま目に付いたので読んでみたのだが、事前に思っていたよりもはるかに面白かった。

文章も巧いのでスラスラと一気に読める。

1日で余裕。

テーマから予想されるのとは異なり、著者の見解は決して押し付けがましくない。

日本人の、アフリカに対する「偏見」を一方的に非難・弾劾するという調子ではないので、素直にうなづける。

歴史書とは言えませんが、強くお勧めします。

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