万年初心者のための世界史ブックガイド

2011年8月9日

30冊で読む世界史 その2

Filed under: おしらせ・雑記 — 万年初心者 @ 06:00

その1の続き。

ラテン・アメリカは、(16)高橋均『ラテンアメリカ文明の興亡 (世界の歴史18)』(中央公論社)で先史時代から現代までカバーできるので、即決。

全集モノで傑作があると、こういうとき楽です。

オセアニアはさすがに勘弁して下さい。

もし何か読むのなら竹田いさみ『物語オーストラリアの歴史』(中公新書)だけでいいでしょう。

しかし今の時代、アフリカは省略できんよなあと考え、(17)宮本正興『新書アフリカ史』(講談社現代新書)を挙げる。

イスラム・中東も中公の全集に(18)佐藤次高『イスラーム世界の興隆 (世界の歴史8)』(中央公論社)という名著があるのでほとんど迷わない。

本書がオスマン以前しか叙述していないというのなら、後藤明『ビジュアル版イスラーム歴史物語』(講談社)が非常にわかりやすい形式で現代までの西アジア全史を物語ってくれていますので、これで代用しましょう。

あと、菊地達也『イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史』(講談社選書メチエ)はタイトルが与える印象とは異なり、宗教史ではなく、やや詳しい通常の通史としても使えます。

一般常識レベルの本として、阿刀田高『コーランを知っていますか』(新潮文庫)で肩慣らしをして、現代史では藤村信『中東現代史』(岩波新書)辺りで基礎を作りますか。

続いて中央アジアですが、これがねえ・・・・・。

間野英二『中央アジアの歴史 (新書東洋史8)』(講談社現代新書)も、羽田明『西域 (世界の歴史10)』(河出文庫)もいまひとつとの感がある。

迷った末、やや簡略だが、(19)間野英二『内陸アジア (地域からの世界史6)』(朝日新聞社)を選択。

お茶を濁したとの印象が拭えませんが、これはオリエントと並んで今後の宿題にさせて下さい。

他に井上靖『蒼き狼』(新潮文庫)は有名な作品で読みやすいし、一読しておいてもいいでしょう。

なお杉山正明先生の『大モンゴルの時代 (世界の歴史9)』(中央公論社)など一連の著作は、初心者に勧めてよいものやら、判断に迷います。

インドに入ると、ここでも(20)山崎元一『古代インドの文明と社会 (世界の歴史3)』(中央公論社)と極めて使い勝手の良い本があるので、すぐ埋まる。

これもイスラム史と同じくムガル朝以前のみで全体をカバーしてないが、かと言ってターパル、スピィア『インド史 全3巻』(みすず書房)じゃ初心者にとってハードルが高すぎる。

この辺は網羅性をある程度犠牲にしても、挫折せず読み通すことを優先して上記本を採用。

加えてサブテキストして、渡辺照宏『仏教』(岩波新書)でも読んでおきますか。

東南アジアも個々の著作ではそこそこいいものがあるが、全域の通史ではすっと思い浮かぶものが無い。

永積昭『東南アジアの歴史 (新書東洋史7)』(講談社現代新書)は簡略過ぎて、ちょっとインパクトに欠ける。

思い切って柿崎一郎『物語タイの歴史』(中公新書)で通史の代用にするかとも思うが、いくら主要国でも一国史で全域の歴史を代表させるのは問題があるかと思い止まる。

結局、(21)石澤良昭 生田滋『東南アジアの伝統と発展 (世界の歴史13)』(中央公論社)を採用。

これは書名一覧で評価4となっていますが、今思うと「そんなに面白かったかなあ」との疑いが生じている。

しかし、まあ暫定的には基礎テキストとして採用しても大丈夫な本だと思います。

さて、やっと中国史まで来た。

通史としては、やはり(22)宮崎市定『中国史 上・下』(岩波書店)がベスト。

好き嫌いはあると思うが、個人的にはこの本は決して外せない。

ただし、クセがあってどうしても駄目だという場合は寺田隆信『物語中国の歴史』(中公新書)で代用できます。

冊数制限が無ければ、宮崎先生の本だけで10冊近くいってしまうのだが、厳選に厳選を重ねて、(23)宮崎市定『大唐帝国』(中公文庫)を挙げる。

史観の大胆さ、叙述の華麗さで並ぶものの無い、時代別通史の傑作。

そして、ギリシア史でヘロドトス・トゥキュディデスを挙げたのと同様に、中国史でも(24)『世界の名著 司馬遷』(中央公論社)に挑戦してみましょう。

これは初心者に通読できる形式・内容の古典ですので、是非読破しておきたい。

加えて、歴史小説の傑作、(25)司馬遼太郎『項羽と劉邦 上・中・下』(新潮文庫)を。

この本、面白過ぎますので。

全30冊なら、中国史で4冊費やせば、とりあえず打ち止めですかね。

宮崎氏の『科挙』(中公文庫)のような、定番中の定番も外さざるを得ない。

また、これもリストには入れられませんでしたが、中国現代史の基礎を固めるため、中嶋嶺雄『中国 歴史・社会・国際関係』(中公新書)でも読んでおきますか。

これ1冊でもこなしておけば、初心者にとっては大いに違います。

中国史は他分野に比べて日本語で読める啓蒙書の絶対数がはるかに多いので、他にも、このブログで挙げている、いないに関わらず、読みやすいものを読破していって、知識を地道に増やしていって下さい。

最後に朝鮮史を。

ここも迷う。

水野俊平『韓国の歴史』(河出書房新社)金両基『物語韓国史』(中公新書)姜在彦『歴史物語 朝鮮半島』(朝日選書)も、いまいち決め手に欠けるなあと思う。

金素雲『三韓昔がたり』同『朝鮮史譚』(講談社学術文庫)は読みやすいのはいいが、通史としてはやや物足りない。

と思っていたが、(26)岡崎久彦『隣の国で考えたこと』(中公文庫)を忘れていた。

これは疑いも無く傑作である。

基本、史論・評論のような本だが、一応後半部は簡単な韓国通史の形式になっているし、初心者には様々な面での効用が期待できる。

本書は1970年代末期の著作であり、岡崎氏の現在の政治的立場はほとんど反映されていないので、そうした面を気にする方はご心配不用です。

これは繰り返しページを手繰るべき本でしょう。

地域別カテゴリはこれまで。

テーマ的カテゴリから残り数点を抽出。

近現代概説より(27)林健太郎『二つの大戦の谷間 (大世界史22)』(文芸春秋)(28)野田宣雄『ヒトラーの時代 上・下』(講談社学術文庫)を挙げる。

これまで何度勧めたかも思い出せないほどだが、高校レベルの初心者にとって、この両著が与えてくれる効用は本当にずば抜けてます。

最も初歩的な現代史入門として最高の出来。

これらが新刊で入手できない状態を何とか解消して頂けないでしょうか。

もし復刊ということになりましたら、豆粒みたいなブログですが、大いに宣伝させて頂きますので、どうかよろしくお願い致します。

加えて、戦後世界史の概説書が一冊欲しい。

猪木正道『冷戦と共存 (大世界史25)』(文芸春秋)にしようか、それより少しは叙述範囲の広い猪木正道 佐瀬昌盛『現代の世界(世界の歴史25)』(講談社)にしようか、と迷いましたが、結局(29)高坂正堯『現代の国際政治』(講談社学術文庫)を採用。

完全な初心者にはやや良さがわかりにくい本かもしれませんが、やはりこれは外せないという結論に達しました。

これも噛めば噛むほど味の出る本で、数度通読する価値のある書物です。

あと一冊、最後に国際関係・外交分野から(30)高坂正堯『国際政治』(中公新書)を挙げてラストを飾る。

この本を読んだときの衝撃と感動は今もありありと心に浮かび、忘れられないものがある。

政治や外交について初心者が学ぶ際、是非とも通り抜けておくべき本と言えます。

また、ジョセフ・ナイ『国際紛争 理論と歴史』(有斐閣)も優れたテキストなので一読の価値有り。

なお、基礎的な道具類として、教科書・年表・事典のカテゴリを見て、高校教科書をどれか一冊手元に置いておくと宜しいかと思います。

(と言っても、山川出版社の『詳説世界史B』以外は入手困難でしょうが。)

あと、簡易世界史事典のつもりで『世界史B用語集』(山川出版社)を所持し、大型書店の受験参考書コーナーで歴史地図の付いた高校副読本のうち、気に入ったものを一つ購入する。

世界史関連本を読んでいく中で、気になった事項をこれらでチェックして、知識を確認していけばいいでしょう。

教科書と用語集は本棚に仕舞い込んで置くのではなく、机の上か床の上に無造作に放り出して置き、ほんの1分か30秒でもいいから、頻繁に手に取って適当なページをめくって目を通すことを意識してやると良い(トイレの中に持ち込むのも可)。

(私は『詳説日本史』(山川出版社)でそれをやって、知識の穴埋めにかなり効果が有りました。)

教科書が無味乾燥で嫌だという方には、中谷臣『センター世界史B各駅停車』(パレード)青木裕司『NEW青木世界史B講義の実況中継 全5巻』(語学春秋社)の二つを挙げておきます。

いきなり大学受験向け参考書はハードなので、小中学校レベルのもっと基礎的なことから始めたいという方には・・・・・・。

日本史なら迷うこと無く、各社から出ている「学習漫画日本の歴史」の類をお勧めするのですが、同種の世界史漫画シリーズはちょっとよくわかりません。

何か適切なものを見つけたら、またこのブログで取り上げるつもりです。

なお、現代史を知るための対策として、紙の新聞を一紙購読して、国際面だけでいいので、毎日隅から隅まで読むのもいいかもしれません。

各国別、地域別類書があってもすぐ情報が古くなるのが厄介ですが、新聞の記事・解説を我慢して読み続けていると、ある程度の知識が付いてきます。

大雑把過ぎる紹介でしたが、とりあえず終わりました。

以下、一度に30冊並べてみます。

(1)ウィリアム・マクニール『世界史』(中央公論新社)

(2)宮崎市定『アジア史論』(中公クラシックス)

(3)岸本通夫『古代オリエント (世界の歴史2)』(河出文庫)

(4)『世界の名著 ヘロドトス・トゥキュディデス』(中央公論社)

(5)澤田典子『アテネ民主政』(講談社選書メチエ)

(6)モンタネッリ『ローマの歴史』(中公文庫)

(7)井上浩一『ビザンツとスラヴ (世界の歴史11)』(中央公論社)

(8)アンドレ・モロワ『英国史 上・下』(新潮文庫)

(9)アンドレ・モロワ『フランス史 上・下』(新潮文庫)

(10)アンドレ・モロワ『アメリカ史 上・下』(新潮文庫)

(11)坂井栄八郎『ドイツ史10講』(岩波新書)

(12)藤沢道郎『物語イタリアの歴史』(中公新書)

(13)林健太郎『ワイマル共和国』(中公新書)

(14)セバスチャン・ハフナー『ヒトラーとは何か』(草思社)

(15)ジョージ・ケナン『アメリカ外交50年』(岩波現代文庫)

(16)高橋均 網野徹哉『ラテンアメリカ文明の興亡 (世界の歴史18)』(中央公論社)

(17)宮本正興『新書アフリカ史』(講談社現代新書)

(18)佐藤次高『イスラーム世界の興隆 (世界の歴史8)』(中央公論社)

(19)間野英二『内陸アジア (地域からの世界史6)』(朝日新聞社)

(20)山崎元一『古代インドの文明と社会 (世界の歴史3)』(中央公論社)

(21)石澤良昭『東南アジアの伝統と発展 (世界の歴史13)』(中央公論社)

(22)宮崎市定『中国史 上・下』(岩波書店)

(23)宮崎市定『大唐帝国』(中公文庫)

(24)『世界の名著 司馬遷』(中央公論社)

(25)司馬遼太郎『項羽と劉邦 上・中・下』(新潮文庫)

(26)岡崎久彦『隣の国で考えたこと』(中公文庫)

(27)林健太郎『二つの大戦の谷間 (大世界史22)』(文芸春秋)

(28)野田宣雄『ヒトラーの時代 上・下』(講談社学術文庫)

(29)高坂正堯『現代の国際政治』(講談社学術文庫)

(30)高坂正堯『国際政治』(中公新書)

以上、もちろん単なる叩き台に過ぎませんので、皆様の好みやレベル、あるいは入手し易さに従って適当に取捨選択して下さって結構です。

中央公論社の本で半分を占めていたりと、私の好みがはっきり出過ぎているかもしれませんが、一定の冊数以内で最低限の目途が付くということを示せただけでも、このリストの意味があるかと。

中公新版世界史全集を挙げて、巻数もちょうど30だしそれ読んでください、で済ませるのも芸がないですしね。

30冊ということは一月2冊読むとして、一通りこなすのに一年ちょっとですから、私ほどの暇人じゃない方にも比較的現実的な数字だと思います。

研究者でもセミプロ的達人でもない、少々世界史に興味があるという位の、私と似たレベルの方にとって、何かのお役に立てれば幸いです。

本日で通算1000記事目です。

はじめにおしらせ・雑記引用文を除いて、紹介冊数で言うと850弱です。

(そのうち、通読していないのに記事にした分がかなりありますが。)

予告通り、当分の間更新を停止させて頂きます。

再開未定です。

それでは皆様、御機嫌よう。

2011年8月4日

30冊で読む世界史 その1

Filed under: おしらせ・雑記 — 万年初心者 @ 06:00

これまで結構な数の本を紹介してきましたが、ブックガイドとしては乱雑過ぎて、どれを読もうか迷う方がいるかもしれません。

このブログを隅から隅まで読む暇のあるのは、間違いなく書いた本人だけでしょう。

一応地域別カテゴリテーマ的カテゴリに分かれた書名一覧があり、各書を五段階で評価してますので、評価5または4の本を優先して読んで頂くという手もありますが、それでも数が多いし、初心者には向かない本もある。

そこで、以下の基準に則り、暫定的な必読書リストを作ってみることにしました。

(1)地域別カテゴリを基本に30冊で初心者が世界史を概観できるリストを作る(ただし近代日本は除外)。

(2)長大なシリーズものでない限り、上・下巻などは「合わせて1冊」と数える。

(3)初心者が通読困難な古典的著作などは入れない。

(4)網羅性に出来るだけ配慮するが、叙述範囲が広いというだけの、つまらない本は挙げない。

(5)個人の理解度・嗜好・費やせる時間の違いを考慮して代替書を出来るだけ挙げる、また個別的テーマに関わる本や最も初歩的な段階を脱した時点で読む発展的テキストなども適時提示する。

補足として、なぜ30冊なのかと言うと、10冊・20冊ではさすがに少なすぎて世界史をカバーするのは不可能、40はキリが悪い、50だと少し多すぎる、100は論外、という感じです。

では、早速はじめましょう。

まず、最も広い範囲を対象とするものとして、アジアヨーロッパから、(1)ウィリアム・マクニール『世界史』(中央公論新社)(2)宮崎市定『アジア史論』(中公クラシックス)を挙げる。

世界史全体を概観する本としては、私の知る限りこの二つが白眉。

同じ宮崎氏の『アジア史概説』(中公文庫)でもいいが、やや量が多いので上記本を。

ただし必ず最初にこの二書を読むべきだというのではありません。

ここで挫折してもしょうがないので、以下に挙げる本のうち、特に興味の持てるもの、読みやすそうなものから読んで頂いた方がいいです。

もちろん最初に読んでも構いませんが、まとめの意味で最後に読んでもいいでしょう。

その辺は臨機応変に。

さて、それから個々の地域に入るわけですが、オリエントでいきなりつまづく。

そもそも苦手分野だし、「これは」と思う本に出会ったことも無い。

中公旧版全集の貝塚茂樹『世界の歴史1 古代文明の発見』(中公文庫)は面白かったが、オリエントではなく中国やインドが主流だし、三笠宮崇仁親王『ここに歴史はじまる (大世界史1)』(文芸春秋)杉勇『古代オリエント (世界の歴史1)』(講談社)ももう一つインパクトに欠けるし、青木健『アーリア人』(講談社選書メチエ)で代用するのもちょっと違う気がする。

やむを得ず、消去法で(3)岸本通夫『古代オリエント (世界の歴史2)』(河出文庫)を選択。

自分でもやや不本意ですが、ご容赦下さい。

ギリシアでは、まず(4)『世界の名著 ヘロドトス・トゥキュディデス』(中央公論社)を。

「おいおい、古典的著作は入れないんじゃなかったのか?」と言われるでしょうが、これは少々無理しても読む価値有り。

高校教科書に名前が出てくるような史書では絶対外せない定番ですし、読了すれば非常な充実感が持てる。

それが自信になって、プルタルコス『英雄伝』(ちくま学芸文庫)カエサル『ガリア戦記』(講談社学術文庫)スエトニウス『ローマ皇帝伝 上・下』(岩波文庫)タキトゥス『年代記 上・下』(岩波文庫)などの著作に挑戦する足掛かりにもなる。

教科書には「ヘロドトスが物語風歴史、トゥキュディデスが『科学的』(ないし批判的)歴史」というふうに書いてますが、実際上記訳書に当たってみると、その区別が実感できます。

分量的にはヘロドトスの方が大分多いが、比較的スラスラとページを手繰れます。

しかしトゥキュディデスに入ると、一気に読むスピードが落ちるでしょう。

だが両者とも抄訳なので、ちょっとだるいなと思った頃に省略となるので、初心者にとっては助かる。

岩波文庫の全訳(『歴史 上・中・下』『戦史 上・中・下』)に取り組む前にこちらで肩慣らしをしておきましょう。

あと、普通の概説書として(5)澤田典子『アテネ民主政』(講談社選書メチエ)がよくまとまっていて有益。

他に個別的分野の本として、森谷公俊『王妃オリュンピアス』(ちくま新書)が大傑作なのだが、冊数の都合で泣く泣く落とす。

ローマは、初心者にも読みやすい(6)モンタネッリ『ローマの歴史』(中公文庫)を。

あるいは、塩野七生『ローマ人の物語』(新潮社)のうち、最初の二巻『ローマは一日にして成らず』(新潮文庫)『ハンニバル戦記』(新潮文庫)をとりあえず読むということでもよい。

「全15巻のうち、1、2巻だけ読むの?」と言われるでしょうが、私はそういうのも「有り」だと思います。

それにこのシリーズの出来は、1、2巻と4巻5巻がピークで、後は落ちる一方ですから。

実はローマ史は上記モンタネッリ1冊のみ。

いくら全30冊といってもそりゃないだろう、と我ながら感じるので、せめて南川高志『ローマ五賢帝』(講談社現代新書)を入れようかと思ったのですが、これもやむを得ず除外。

ただし初心者向け啓蒙書としては、真っ先に読むべき本だとは申し上げておきます。

他には、一般常識を得るために阿刀田高『旧約聖書を知っていますか』(新潮文庫)同『新約聖書を知っていますか』(新潮文庫)を、有名人物の伝記的作品として秀村欣二『ネロ』(中公新書)辻邦生『背教者ユリアヌス』(中公文庫)を推薦します。

そして出来れば最終的には、エドワード・ギボン『ローマ帝国衰亡史』(ちくま学芸文庫)の通読に挑戦して頂きたいと思います。

ビザンツは、井上浩一『生き残った帝国ビザンティン』(講談社学術文庫)でもいいが(7)井上浩一『ビザンツとスラヴ (世界の歴史11)』(中央公論社)ならロシア東欧もカバーできてお得。

欧米史では、(8)アンドレ・モロワ『英国史 上・下』(新潮文庫) (9)同『フランス史 上・下』(新潮文庫)(10)同『アメリカ史 上・下』(新潮文庫)、とこれでイギリスフランスアメリカ主要国三つが一気に埋まった。

度々述べておりますが、この三部作の効用は初心者にとって驚くほど高い。

中央公論様、新潮から版権を買い取って文庫で復刊されては如何でしょうか。

ドイツが無いなあと思われるでしょうが、ご心配無用、(11)坂井栄八郎『ドイツ史10講』(岩波新書)という最適な本がございます。

イタリアはもちろん(12)藤沢道郎『物語イタリアの歴史』(中公新書)で決まり。

上記英仏米独伊五ヵ国についての通史代替書・個別的分野参考書は多過ぎて挙げ切れない。

通史では、まず福田恒存『私の英国史』(中央公論社)をこなした後、やや程度が高くなるが、トレヴェリアン『イギリス史 全3巻』(みすず書房)ピエール・ガクソット『フランス人の歴史 全3巻』(みすず書房)ゴーロ・マン『近代ドイツ史 1・2』(みすず書房)の三点を読破できれば申し分なし。

ゴーロ・マン著は30冊リストの中に入れたい位だが、分量が多めなので泣く泣く除外。

しかしこの本は本当に優れています。

難解な概念を使わず、政治と社会と思想の流れをパノラマのように見せつつ、押し付けがましくない一貫した史観を提示し、人物の魅力的描写に力を注ぎ、しかもそれを日本の高校レベルの読者にも翻訳では読めるレベルで成し遂げているのだから、ほとんど神業である。

機会があれば是非お読み下さい。

個別テーマ対象の本としては、ドイツ史関連から(13)林健太郎『ワイマル共和国』(中公新書)(14)セバスチャン・ハフナー『ヒトラーとは何か』(草思社)をピックアップ。

冊数からして通史的著作以外の本を挙げる余地は極めて小さいが、この二つは初心者向け啓蒙書の傑作として外せない。

ハフナーの本は、他にも『ドイツ帝国の興亡』(平凡社)『図説プロイセンの歴史』(東洋書林)も強くお勧めします。

モンタネッリの『ルネサンスの歴史 上・下』(中公文庫)も是非。

上記に加えて(15)ジョージ・ケナン『アメリカ外交50年』(岩波現代文庫)も。

この本も得られる知識の効用の高さ、史観の公平さ・客観性がずば抜けており、初心者必読。

他の啓蒙書では、書名一覧の評価も参考にして、佐藤賢一『英仏百年戦争』(集英社新書)同『カペー朝』(講談社現代新書)菊池良生『神聖ローマ帝国』(講談社現代新書)藤沢道郎『メディチ家はなぜ栄えたか』(講談社選書メチエ)など読みやすいものを手に取り、出来るだけ数をこなすことを意識して頂くと宜しいかと。

続いてダフ・クーパー『タレイラン評伝 上・下』(中公文庫)プティフィス『ルイ16世』(中央公論新社)など、やや程度の高いものにも取り組んで下さい。

スペインは0冊ですが、もし入れるなら、あまり知られていない本ですが、茨木晃『スペイン史概説』(あけぼの印刷社)を。

ついでに挙げると、ツヴァイク『マゼラン(附アメリゴ)』(みすず書房)は極めて面白い伝記。

オランダも迷ったんですが、結局岡崎久彦『繁栄と衰退と』(文春文庫)は入れず。

読む場合、日米関係がどうたらとかいう現在の問題に引き付けて論じた部分が鬱陶しければ飛ばしていいでしょう。

それを差し引いても、この岡崎氏著は実に面白い歴史物語です。

東欧・北欧の北欧部分は、もし読むのなら、とりあえず武田龍夫『物語北欧の歴史』(中公新書)1冊でいいんじゃないですか。

ロシアでは、上記『ビザンツとスラヴ』の他、ソ連史の名著として、ジョージ・ケナン『レーニン・スターリンと西方世界』(未来社)もリストに入れたかったのだが、全くの初心者では通読困難ということで、やむを得ず外した。

とはいえ、本当に多くの有益な視点が含まれた傑作ですので、余裕があれば是非お読み下さい。

ちょうど半分の15冊まで行きましたので、本日はこれまで。

続きは次回。

(追記:続きはこちら→30冊で読む世界史 その2

WordPress.com Blog.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。