万年初心者のための世界史ブックガイド

2010年11月19日

引用文(ニスベット1)

Filed under: 引用文 — 万年初心者 @ 06:00

ロバート・ニスベット『保守主義』(昭和堂)より。

同様に民主政と戦争の拡大および水平化との間にも、緊密な関連が存在する。初期の保守主義者がひとしく指摘しているように、歴史上はじめて国民皆兵制、有名な総動員を制度化したのはフランス革命であった。戦争は突如かつて革命以前の時代に見られた限定的な性格を失うと共に、多かれ少なかれ制限された目的――通常は王朝間のいざこざもしくは領土をめぐるもの――、戦闘の定められた秩序、封建制以後の多分に儀式的要素といったものも失った。

革命軍の行進と共に戦争は自由、平等、博愛の十字軍になり、このことは不可避的に19世紀に見られるような軍隊の絶えざる肥大化と目的の絶えざる拡張をともなった。テーヌが述べているように、民主政はすべての成人男子に投票用紙をあたえる一方で、彼に背嚢を背負わせる。20世紀になると前々からうすうす予感されていたこの種の巨大戦争は、第一次世界大戦において現実のものとなり、何百万人という人々が軍隊という屠殺場に閉じ込められ、組織的に砲弾を浴びせかけあいながら、一回の戦闘で獲得する陣地はせいぜい百ヤード程度という巨大でほとんど動きのない軍隊によって、古い戦争技術はとって代わられた。ウィンストン・チャーチルは書いている。「戦争はかつては残忍で壮大であったが、いまでは残忍で卑小である。」科学と民主主義のおかげで、だれもが大平等主義者気どりでいる、とチャーチルはつけ加えている。

チャーチルのことばに歴史的な広がりと深みをあたえ、国民国家の人工的および政治的基礎の拡大と、それに伴う西欧における戦争の様式全体の拡大との間に緊密な関係があることを歴史的に詳細に示したのは、保守主義者であったフラー少将であった。すなわち、戦争が人間的な面で巨大化したこと、破壊的な兵器が絶えず増大していったこと、そしてなかんずく領土上および王朝の目的からイデオロギー的および道徳的な目的へと目的が拡大していったことである。フラー、ドーソン、チャーチル、その他の保守主義者が強調しているように、封建時代の戦争は、テクノロジーや戦争に加わる人数、騎士道精神、奉仕すべき契約ないし義務の限定、教会の禁止命令などによって、ほとんどあらゆる面で制限されていた。それにひきかえ、第二次世界大戦の開始とともに西欧の民主社会は、無制限な目標、無条件降伏条項、何十万単位で人々を殺りくできる兵器、たった一年間でこれまであったすべての戦争を合計したよりも大きな死と破壊をもたらしうる段階にまで達していた。

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