万年初心者のための世界史ブックガイド

2010年10月5日

引用文(クイントン2)

Filed under: 引用文 — 万年初心者 @ 06:00

アンソニー・クイントン『不完全性の政治学』(東信堂)より。

[ディズレーリ以後の保守党について]

伝統的、農村的な支配階級の党は実質的に資産所有階級一般の政党になりました。その時までは主要な社会的責任の継承者の政治的集団と名乗ってもおかしくなかったものが、まさにその本来の原則からして嘆くべき類の特殊利益の集団へと変容したのです。

この変容の問題点を照らし出す意味で、アメリカ合衆国における「保守」という言葉の使われ方は興味深いと思います。伝統的なイギリスの保守主義に直接対応するものとしては、南北戦争以前の南部を理想の時代として見ようとする立場があります。現代においてそういう立場の意見を代表するのは、南部の農村詩人の文化批判であり、もっと新しいところでは、学術書に多いバーク礼賛の復活です。著者としてはラッセル・カークなどがそうであり、なおピータ・ヴィレクの場合だとメッテルニヒ礼賛までもみられます。しかし、合衆国における日常の口語では、保守主義者とは法的な規制に反対する自由企業の擁護論者、資産所有権の絶対的擁護論者を意味し、極端な例としては、連邦政府の所得税徴収は憲法違反だというプラカードを掲げてライトバンを乗り回している連中まで保守主義者にふくまれます。それこそが、ボリンブルクからディズレイリにいたるイギリスの保守主義者にとって、急進的な教条主義者と並ぶ、もう一方の主要な敵であった貨幣所有階級のイデオロギーなのです

彼[ソールズベリ]が省察の結果到達したのは、主として、英国の社会発展において今や保守主義にできることは大衆の勝利をほんの少し先へ延ばすという時間稼ぎの行動しかないという時期が到来した、という認識であったようにみえます。ディズレイリは、公衆の政治意識の中心に階級闘争が出現したことをつとに認識していましたが、それは不幸な異状として、つまり基本的には健康体である有機体に生じた治療可能な病状としてでした。ソールズベリの見方はもっと暗かったのです。社会は有機体であるという想定から彼が引き出したのは、他の有機体と同様に社会にも寿命があるということでした

政治的平等に関しては、普通選挙権によって実現されるものとされますが、そういう選挙権は政治権力を個々には役に立たない小さな単位に分割し、それらは結局は寄せ集められて黒幕が操るのに便利な大衆と化する、と彼[フィッツジェラルド・スティーヴン]は主張します。そういう措置は、「知者と愚者との本来の関係、・・・・・つまり賢にして善なる人間が愚にして悪なる人間を支配すべきだという関係を転倒させる」と彼はなお付け加えます。

上記文章を読むと、個人的にいろいろ考えるところがあります。

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