万年初心者のための世界史ブックガイド

2010年9月26日

半藤一利 『昭和史  戦後篇 1945-1989』 (平凡社ライブラリー)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

『幕末史』、戦前篇『昭和史』と同じ著者。

これも講演を基にして話し言葉で書かれているので極めて読みやすく、相当のスピードで通読できる。

600ページ超の分量がまるで気にならない。

タイトルに「1945-1989」とあるが、占領期に圧倒的比重があり、終戦から1951年サンフランシスコ講和条約までで約半分、55年体制成立までで三分の二の紙数が費やされている。

以後も細かな記述があるのは1972年の沖縄返還までで、それから平成改元まではざっと流すだけ。

教科書には普通出てこないような社会風俗の描写や、興味深い人物評、エピソードを交えながら語っていくので、飽きさせず読ませる。

著者は占領時代のGHQの政策について、1948年と49年の間に大きな裂け目を見て、48年までを日本「民主化」と弱体化、49年以降を日本の復興と利用を目的とした時期としている。

なお、東京裁判の章で、最初被告が28人指定され、ソ連が梅津美治郎と重光葵の追加を要求したためその分真崎甚三郎と阿部信行が外されたと本書では書いているが、『解明・昭和史』では、これはもともと児島襄が唱えたもので根拠のない俗説だと批判されている。

他にも慎重に構えるべき部分があるのかもしれないし、これ以外何も読まないというのはもちろんまずいでしょうが、初心者がまずざっと読んで基礎を作るには悪くない本でしょう。

できれば読了後、教科書や年表でもう一度史実や年代を確認するとよい。

読後感は上記『幕末史』『昭和史』より、こちらの方がずっと良かった。

普通にお勧めできます。

(1945年末、憲法問題調査委員会[委員長・松本烝治]における美濃部達吉の言葉)

「いや、臣民という言葉には封建的な響きが感じられます。国民としたほうがよろしいのではないですか」

これを聞いた美濃部先生は突然、怒り出しました。

「臣民は臣民でいいじゃないですか。御詔勅には『汝臣民』とある。これを変えるということは、国体を変革することにもつながりかねない」

戦前は右翼に殺されかけて、戦後は誰が見ても「保守反動」という、こういう人が私は一番好きです。

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