万年初心者のための世界史ブックガイド

2010年9月20日

服部正也 『ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』 (中公新書)

Filed under: アフリカ — 万年初心者 @ 06:00

1972年初版、2009年増補版。

増補版刊行時点で、著者はすでにお亡くなりになっています。

日本銀行から国際通貨基金(IMF)に出向した後、さらにルワンダの中央銀行総裁に請われて就任し、1965~71年の間在任した著者の回想。

歴史書というのとはちょっと違うかもしれないが、以前から書名を知っていた本で最近増補版が出たし、数が少ないアフリカカテゴリに追加できる点で貴重だしと思って手に取った。

「ルワンダ」と言われても、全く名前を聞いたこともないか、「90年代に大虐殺があった国」としか記憶がない人が大半でしょう(私も後者です)。

ルワンダはアフリカ中央内陸部にある小国で、北はウガンダ、東はタンザニア、西はコンゴ(旧ザイール)、南はブルンジに接する。

首都はキガリ、公用語はフランス語(とルワンダ語。現在は英語も)。

ちなみに上記「コンゴ」はアフリカのど真ん中にあるでかい国のコンゴ民主共和国(首都キンシャサ)で、そのさらに隣にある小さい方のコンゴ共和国(首都ブラザヴィル)じゃないです。

国名が同じってややこしいですよね。

ザイールと呼んでた頃はちょうどよかったんですが、まあモブツ独裁政権が改称した名ですから、使われなくなったのもしょうがないですね。

あと似た事例として、中米カリブ海にドミニカ共和国とドミニカ国があります。

ドミニカ共和国がハイチと同じ島で東半分に当たる国、ドミニカ国はその南に連なる小アンチル諸島にある小国。

なお、アンゴラの首都名が「ルアンダ」ですが、これとも混同しないようご注意。

話が逸れ過ぎました。

閑話休題。

19世紀末のアフリカ分割でドイツ領、第一次大戦後ベルギーの委任統治領に。

主要民族は多数派のフツ族、少数派のツチ族。

「多数派は普通だからフツ族」とでも語呂合わせで憶えましょうか。

支配民族は少数派のツチ族の方で、植民地時代もツチ系王国が存続する間接支配の状態。

1950年代末に王国内部の紛争とフツ族解放運動が重なり、共和国宣言を経てフツ族中心政権成立、1962年に独立。

初代大統領カイバンダ。

その際、ツチ族の一部が近隣諸国に亡命し、以後ルワンダの不安定要因となる。

(なお民族構成を同じくするブルンジではツチ族支配体制が基本的に続いたと書いてある。)

独立間もない時期に着任した著者は大統領の信任を得て、二重為替相場制度廃止と平価切り下げなどの通貨改革、適切な国債発行と予算精査による財政再建、商業銀行規制など金融制度整備、ルワンダ人現地商人育成と輸出至上志向ではない農業中心の経済建設政策、バス路線などの交通インフラ整備を遂行し、ルワンダ経済を成長軌道に乗せることに成功する。

本論はここまで。

以後、著者が「ルワンダ大虐殺」について書いた論文と、別の方が著者を偲んで書いた文章が増補されている。

著者が帰国した後、1973年クーデタでハビャリマナ政権樹立。

1990年ウガンダの支援を受けたツチ族主体の「ルワンダ愛国戦線(RPF)」による北部侵攻。

そして悲劇の1994年を迎える。

同年ハビャリマナ大統領を乗せた飛行機が撃墜され、大統領死亡。

これに激高したフツ族が少数派ツチ族とフツ族穏健派を大量虐殺。

ウガンダのムセベニ政権の支援を得たRPFが反撃、ルワンダに進撃しフツ族勢力を打倒、全土を制圧、RPFの実力者カガメが副大統領就任。

著者はこの過程で米国メディアに見られたツチ族寄りの報道を批判している。

フツ族による虐殺行為は決して許されるものではないと述べた上で、それがフツ族政府の計画的行動であったことには疑問を呈し、発端の大統領暗殺事件はRPFの仕業である可能性が高いのではないかと推測している。

また西南部に安全地帯を設け、RPFが虐殺加担者として指名した人々をそのまま引き渡さず、国連の中立的機関によって裁かれるべきだとしたフランス軍の姿勢を評価している。

以後2000年に上記カガメが大統領就任、民族融和に努め、順調に経済発展を遂げているそうです。

なお、フランスが大統領乗機撃墜へのRPF関与を示唆する報告書を作成したことにカガメ政権が反発し関係が悪化、仏と一時疎遠になったルワンダは旧英国植民地でもないのに英連邦に加盟したと少し前の新聞の国際面で読んだ記憶がありますが、うろ覚えです。

加えて先日、カガメが再選されたが野党勢力への抑圧も指摘されるとか、新聞に載ってましたね。

なかなか良い。

読み物として面白く、経済音痴の私でも何とか読めるレベル。

わからないところは飛ばし読みでいいでしょう。

マイナー分野で地道に知識を伸ばすために適切な本です。

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