万年初心者のための世界史ブックガイド

2010年9月10日

津野田興一 『世界史読書案内』 (岩波ジュニア新書)

Filed under: 読書論 — 万年初心者 @ 06:00

このブログでは、ど真ん中ストレートで対象になる本。

著者は都立高校で世界史を教えていらっしゃる先生だそうです。

ジュニア新書ということで、主として高校生向けに合計92冊の本を紹介している。

最初と最後に、「はじめに」と「終章 歴史の中で生きてゆく」で概括的に各2冊の本を挙げて、それ以外は四部に分かれた構成。

「第1章 国民国家が生れて、広がる」で近代史14冊。

「第2章 二〇世紀という時代」で現代史25冊。

「第3章 世界各地の「個性」がつくられた!」で前近代の各地域の歴史33冊。

「第4章 世界がひとつにつながった!」で近世以降の世界の一体化に関係する16冊。

巻頭の全リストを見ると、宮崎市定先生の『科挙』『大唐帝国』などを始めとして、このブログで紹介した本ともかなり重なっている(数えたら26冊にもなった)。

やはり基本、高校レベルの本しか読んでないのかと、我ながら苦笑。

本文を読むと、簡潔平易な説明ながら、どれも面白く、読む気を起こさせて、考えさせる文章が多い。

当ブログのように興醒めなネタバレも無い。

本の選択もざっと見たところ何と言うか、センスがいい(偉そうな言い方で恐縮です。ただし私が読んでる本が多いからという自画自賛的理由ではございません)。

通常の歴史書だけでなく、小説(歴史小説に限らず)・雑学的解説書・ブックレット・古典的著作など様々な種類の本が採り上げられていて、一部には漫画もある。

これも退屈さを避けるという意味で、全然悪い印象は受けない。

ブックガイドとして社会人にも向いている。

これを目安に一部を取捨選択した上で、2、3年かけて全巻読破を目指してもよい。

類書で『世界史のための文献案内』もあるが、あまりにも膨大な数の本が挙げられていて、初心者はそれに気圧されてやる気が削がれる恐れがある。

この種の読書案内では、思い切って数を絞って「最低限これだけ読めば大丈夫」というリストを提出してくれた方が、初心者にとっては有益。

例を挙げると、この記事で触れた中嶋嶺雄『国際関係論』(中公新書)巻末の文献案内は必読書30点を明示してくれているのが何よりの長所となっている。

このブログも採り上げた本の数はそこそこ増えているが、それで反って利用しづらくなっているのかもしれない。

全記事から抽出した30~50冊くらいのリストを提示した記事が必要なのかなと考える今日この頃です。

本書は非常に良い。

借りてもいいが、買う価値も十分あります。

手元に置いて暇な時に眺めて、気になるものは一つ一つ読破していきましょう。

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