万年初心者のための世界史ブックガイド

2010年5月11日

半藤一利 『幕末史』 (新潮社)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

ペリー来航から西南戦争までの歴史を語った本。

この方の本では、『昭和史 1926―1945』(平凡社ライブラリー)がかなり売れたようで、それを手に取るつもりが、先にこちらを読むことになってしまった。

連続講義を文章にした語りおろしという形式なので、非常に読みやすい。

内容面での何よりの特徴は、著者が江戸っ子で父上が戊辰戦争の「賊軍」新潟・長岡藩出身とのことで、反「皇国史観」(というか反「薩長史観」)色が非常に強く出た本になっていること。

年代をチェックしながらざっと読んでみると、知識が整理されて便利ではある。

この機会に幕末史を世界史と対比しながら、一年刻みで以下にメモ。

1853年(嘉永6年) ペリー来航。

近代日本の全ての基点の年なので、この年号は当然記憶。

アメリカは南北戦争前夜、イギリスは自由主義的改革が進展し深刻な社会問題を抱えながらも繁栄の絶頂、フランスは前年52年からナポレオン3世の第二帝政、ドイツは48年三月革命敗北後の反動期、イタリアは前年52年からカヴールがサルディニア首相に就任し統一への胎動、ロシアは保守的なニコライ1世の治世晩年にクリミア戦争勃発、中国では太平天国が南京占領。

この年、黒船帰国後、12代将軍徳川家慶死去、13代家定就任。

1854年(嘉永7年・安政元年) 日米和親条約。

米カンザス・ネブラスカ法、セヴァストーポリ要塞で英仏軍とロシア軍対戦。(吉川弘文館『世界史年表・地図』で英仏が参戦したこの54年をクリミア戦争開始年度にしているのは解せない。教科書の記述とも合わず不適切に思える。)

1855年(安政2年) 阿部正弘に代わり堀田正睦が筆頭老中、長崎海軍伝習所設置。

英第1次パーマストン自由党内閣(~58年)。

1856年(安政3年) ハリス、下田駐在初代アメリカ総領事着任。

将軍継嗣問題、徳川慶喜を推す一橋派が越前藩主松平慶永(春嶽・配下に橋本左内)、薩摩藩主島津斉彬、土佐の山内豊信(容堂)、宇和島の伊達宗城など、これに対して徳川慶福を推す南紀派が譜代大名。

一橋派に開明派が多いが単純に開国派とは言えず、南紀派が攘夷派とも言えない、と著者は書いている。

アロー戦争、パリ条約でクリミア戦争終結。

1857年(安政4年) ハリス、将軍家定と会見、条約交渉続く。

インド大反乱(セポイの乱)。

1858年(安政5年) 井伊直弼大老就任、日米修好通商条約。

将軍家定死去、14代家茂(慶福)就任、島津斉彬死去。

英仏蘭露とも条約調印(安政の五カ国条約)。

安政の大獄。

仏・インドシナ出兵、英東インド会社解散、ムガル帝国滅亡。

1859年(安政6年) 横浜・長崎・箱館で貿易開始。

イタリア統一戦争。

1860年(安政7年・万延元年) 桜田門外の変。

老中安藤信正の公武合体運動。

徳川斉昭死去。

英仏連合軍、北京占領・円明園破壊、英仏および露と北京条約。

1861年(万延2年・文久元年) 和宮降嫁。

長州藩士長井雅楽(うた)、「航海遠略策」を朝廷に提出。

この時期の長州の藩論は開国志向・公武合体論だったのが、翌年には攘夷派優勢に一変したと著者は書いている。

なお、この年1861年は世界史上極めて重要。

アメリカ南北戦争、イタリア統一、ロシア農奴解放令と最重要事項ばかり。

プロイセンではヴィルヘルム1世が即位しているが、これは翌62年ビスマルク首相就任を憶えた方がいいか。

他にはナポレオン3世のメキシコ出兵、清の同治帝即位。

1862年(文久2年) 坂下門外の変。

独自の公武合体論を取る島津久光が率兵上洛、寺田屋事件で薩摩藩内の尊攘派粛清、薩摩藩の勢力下に入った京都では一時尊攘派運動下火になる。

続けて江戸に下向、幕政改革を要求し、その結果、松平慶永が政事総裁職、徳川慶喜が将軍後見職、会津藩主松平容保が京都守護職に就任、西洋式軍制採用・参勤交代緩和などの文久の改革が行われる。

久光の江戸からの帰りに生麦事件。

尊王攘夷論に藩論を転換させていた長州藩が京都で薩摩に対抗して勢力挽回、尊攘派による暗殺が多発。

ビスマルク首相就任、サイゴン条約で仏がコーチシナ東部獲得。

1863年(文久3年) 下関外国船砲撃、薩英戦争、八月十八日の政変。

将軍家茂上洛、長州藩の影響下にある朝廷から攘夷決行を迫られ5月に決定。

同月長州、下関で外国船砲撃。

7月薩英戦争。

8月薩摩・会津藩が長州藩勢力と急進派公家三条実美らを京都から追放。

黒船来航からちょうど十年のこの年は国内政局転換の始まりとして重要。

ただし、この時点ではまだ薩摩が公武合体論で倒幕論ではなく、長州と激しく対立していることにご注意。

奴隷解放宣言、ゲティスバーグの戦い、ポーランド反乱、李朝の高宗即位。

まだ最初の十年やっただけですが、疲れた・・・・・・。

続きます。

(追記:続きは以下

幕末史についてのメモ

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