万年初心者のための世界史ブックガイド

2010年4月10日

ブラジル史についてのメモ その1

Filed under: おしらせ・雑記, ラテン・アメリカ — 万年初心者 @ 06:00

金七紀男『ブラジル史』(東洋書店)より。

ペドロ1世統治時代が第一帝政。

君主権の強い欽定憲法制定。

新大陸では長年唯一の君主制国家。

メキシコとハイチがごく短期間帝政だったと書いてあったと思うが、メキシコは思い出せるが、ハイチがどういう状況だったのかは忘れた。

広大な領土が旧スペイン領地域のように分裂せず一体性を保ったのは帝政の求心力によると『ラテンアメリカ文明の興亡』で書かれていたが、本書ではそれを認めながらも、各地で分離独立の武装反乱が多く起こったことを挙げ、中央政府による軍事鎮圧で統一を維持したことも事実だとしている。

連合王国時代に併合していた最南部のスペイン系住民地域がアルゼンチンの支援を得て、ブラジルから分離、1828年ウルグアイとして独立。

この時の戦費負担増大から財政破綻・経済危機が起こり、1831年ペドロ1世退位、息子のペドロ2世即位。

9年間の摂政期を経て、1840年から第二帝政、これが1889年まで約半世紀続く。

1850年奴隷貿易廃止(国内の奴隷制度は維持)。

実証主義の影響を受けた革新的軍人台頭。

帝政の支持基盤で奴隷制を必要としていたリオデジャネイロの「コーヒー男爵」から、賃金労働者を使用して奴隷制維持に関心を持たないサンパウロのコーヒー・ブルジョワジーへ経済力が移動。

共和主義運動と奴隷制廃止運動が連動し始める。

1888年奴隷制が廃止されると、リオのコーヒー男爵も反君主制へ。

1889年フォンセッカ将軍のクーデタ、帝政崩壊、共和政移行。

以後の大統領名などは細かいのでパス。

要は、コーヒー生産州であるサンパウロ州とミナスジェライス州が連携して寡頭政治体制を確立。

この体制が1930年まで続く。

この年、前年の世界恐慌以後の混乱と軍事反乱の中でヴァルガスが政権を握り、ブラジルは新時代に入る。

このヴァルガスは高校世界史では名前の出る唯一のブラジル大統領、というか唯一のブラジル史の人物か。

なお細かいことですが、スペイン語の「V」音は「ヴ」とは発音しないそうで、例えばセルバンテス、ベラスケス、ベネズエラはこの日本語表記が適切らしいです。

ポルトガル語の場合は、「ヴァルガス」の表記でいいようです。

30~34年臨時大統領、34~37年正規大統領、37年に独裁色の濃い新国家体制に移行、以後45年まで、実に15年にわたって政権維持。

ファッショ的インテグラリズモ(統合主義)党と共産党の、極右・極左両党を弾圧した後、全政党を廃止して権威主義的支配体制確立。

ヴァルガスの権威主義は、ファシズムの影響を受けたが現状打破を目的に大衆を動員するファシズムそのものではなく、陸軍を後ろ盾に独裁政治を行ったが軍事独裁でもなかった。新国家体制の支持基盤は一枚岩ではなく、軍部のほかに工業ブルジョワジー、都市の中産階級と労働者に支えられていた。工業ブルジョワジーは工業化重視政策によってさまざまな恩恵を受け、中産階級は官僚組織の肥大化によるポストの増大や工業化による雇用の拡大で新体制を歓迎した。そして労働者階級は共産党の壊滅で牙を抜かれ、ヴァルガスの提示する労働者保護策を受け入れて新国家体制を容認し、体制のなかに組み込まれてしまった。世界の全体主義的な傾向も国民に独裁体制を抵抗なく受け入れさせる要因となった。

44年保守的反ヴァルガス派が「全国民主同盟」結成。

ヴァルガス派は「社会民主党」、「ブラジル労働党」結成。

ヴァルガスが子飼いの労組幹部らに作らせた労働党など左派勢力に軸足を置いて政権延命を計ると、社会民主党が反ヴァルガス派軍部に接近したとかなんとか、そんなことが書いてあった気がするが、ここのところはっきり読み取れない。

45年軍事クーデタでヴァルガス退陣。

まだ終わらないので、戦後史は続きで。

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