万年初心者のための世界史ブックガイド

2010年2月9日

細川道久 『カナダの歴史がわかる25話』 (明石書店)

Filed under: アメリカ — 万年初心者 @ 06:00

初めて読むカナダ史単独の本。

カテゴリはやむを得ずアメリカにします。

この出版社からは「エリア・スタディーズ」と題して、『○○を知るための○○章』といったタイトルの本が国別に、ものすごい数が出ており、本書は書名は似ているがそれとは別のシリーズのようです。

本文が200ページ弱と短いし、非常に平易で読みやすい記述スタイル。

史書というより、歴史エッセイに近い体裁。

しかし、高校世界史では、カナダ史などは英仏植民地抗争の所と、大英帝国内の自治領成立だけしか触れられない状態ですから、ほぼ白紙状態の初心者が最初に読むにはこれくらいの本の方がいいでしょう。

一番平易な概略だけ確認すると、まず15世紀末英国王ヘンリ7世の命を受けたジョン・カボットがカナダ東岸を探検。

16世紀前半フランスのカルティエがセントローレンス川を探検、17世紀初頭にはシャンプランがケベックを建設、カナダはフランス勢力下に入る。

スペイン継承戦争とアン女王戦争後の、1713年ユトレヒト条約によってニューファンドランド島、アカディア(ノヴァスコシア)、ハドソン湾地方という周縁部がイギリス領に。

七年戦争とフレンチ・インディアン戦争後の、1763年パリ条約でケベックを中心とするカナダ本体もイギリス領に。

アメリカ独立戦争では本国への忠誠を守り、13植民地に荷担せず。

主要都市として、セントローレンス川沿いにケベックがあり、南に遡るとモントリオール。

トロントはさらに南、五大湖のオンタリオ湖西岸沿いにあり、トロントとモントリオールの間に首都のオタワがある。

中心はケベック州とオンタリオ州で、ケベック州にはフランス系住民が多く、分離独立の要求が根強くあった。

太平洋側のブリティッシュ・コロンビア州にもうすぐ冬期五輪が行われるヴァンクーヴァーがある。

1867年カナダ自治領成立。

初代首相ジョン・A・マクドナルド。

(他の首相として、19世紀末南アフリカ戦争時のローリエ、戦間期と第二次大戦時のキングの名前が出てくる。)

この自治領(ドミニオン)は内政自治権のみを持ち、外交・防衛はイギリス本国が依然権限を持っている。

1867年と言えば、アメリカは南北戦争が終了した直後で同年ロシアからアラスカを買収して南北双方でカナダと接し、イギリス本国では第2回選挙法改正、マルクスが『資本論』を刊行し、ドイツでは前年の普墺戦争を受けて、北ドイツ連邦結成、オーストリア・ハンガリー二重帝国成立、そして日本ではもちろん大政奉還があった年。

ちなみに1901年オーストラリアが、1907年ニュージーランドが、1910年南アフリカがそれぞれ自治領になっている。

これが1926年英帝国会議で本国と自治領の対等の地位が認められ、1931年ウェストミンスター憲章制定、独自の外交権も認められ、英帝国は英連邦に変わる。

今も、カナダは(オーストラリア、ニュージーランドと同じく)英国王を元首とする立憲君主制で、現地には総督が存在。

何年か前に、オーストラリアで共和制移行を問う国民投票があり否決されましたが、もちろんオーストラリア現地に王様がいるわけはなく、エリザベス女王を元首とするのを止めて大統領を選出するかどうかが問われたもの。

なお、カナダとイギリス、アメリカの三国関係について、ジョージ・ケナンが『アメリカ外交50年』で、19世紀のアメリカの安全は実質イギリスに依存しており、英海軍の力が欧州列強から新大陸を守っていた、そして英海軍自体がアメリカを害さない保証として、英帝国の一部であるカナダは絶妙な「人質」の役目を果たしていたという意味のことを書いていたのが記憶に残っている。

まあ、普通です。

最も初歩的な入門書としては悪くないんじゃないでしょうか。

しかし、次のカナダ史として何を読むべきかわかりません。

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