万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年8月27日

引用文(ケナン2)

Filed under: 引用文 — 万年初心者 @ 06:00

ジョージ・ケナン『レーニン・スターリンと西方世界』(未来社)より。

1941年6月22日、ドイツがソ連に進撃した時、筆者はベルリン大使館に勤務していた。・・・・・この新事態の重要性をあれこれ考えながら、筆者は机に向かい、国務省ロシア部長宛てに次の要領の短文の覚え書きをしたためた。われわれがすべて、想像をたくましくして推測してきた出来事がついに起こった。われわれの取るべき道は、ソ連に物資援助をさしのべ、ソ連がその領土を防衛し、東方におけるドイツの圧倒的勝利を阻止できるようにしてやる以外にはない。しかし、ロシア国境線以西の東欧諸地域にたいするソ連の野心をわれわれがけっして支持しないように希望する、と筆者は特に強調しておいた。

・・・・・筆者がむなしい短文の覚え書きにペンを走らせていた時、チャーチルはラジオ演説の準備に忙しかった。その中で彼は次のように述べた。

「ナチス勢力に抗して戦い続ける人々や国家はすべて、われわれの援助をうけるであろう。・・・したがって当然、われわれに可能なあらゆる援助をロシアおよびロシア国民に与えることになる・・・。自分たちの家庭を守るために戦っているロシア人の大義は、同時に世界いたるところの自由人と自由国民の大義であり、また同じくロシアの直面している危険は・・・、われわれにとっても、またアメリカにとっても同じく危険である」と。

このような諸声明には、ロシアの国境線を越えるソ連の野心については、いかなる留保もなされていなかったのである。

・・・・・チャーチルが表明した見解は、当時、西側諸国が取りえた唯一の見解ではなかったことを銘記する必要がある。なぜなら、スターリンに次のようにいってみてもよかったのである。

「ちょっと待った、スターリン君よ。われわれは、そんなに忘れっぽくないんだ。この戦争で君らが甘い汁を吸おうとしたことくらい、ちゃんとわかっているんだ。君たちがわれわれにたいしてどのような感情を抱いてヒトラーと協定を結んだかも、よく知っている。君はヒトラーと協力してやってゆこうとして、大失敗をしでかした。だがそれは、われわれの知ったことじゃない。もし君が、われわれから物質的・軍事的援助を受けることに心を動かされているのならば、その援助がわれわれ自身の目的にかない、適当と思われる分量だけきっかり差し上げよう。その間われわれは感傷にふけるようなナンセンスは止そう。ヨーロッパでの君の目標がどんなものか、君は示してくれた。われわれは君がドイツの侵略者たちを撃退できるよう支援するが、君が1938年までは領有を認められていた領土を越え、更に拡大する野望を抱いても、われわれの同意を期待できないだろう。」

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