万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年8月22日

横田勇人 『パレスチナ紛争史』 (集英社新書)

Filed under: イスラム・中東 — 万年初心者 @ 06:00

200ページほどの簡略な戦後パレスチナ通史。

著者は日本経済新聞の元カイロ支局長。

2004年5月初版なので、01年の9・11テロや03年のイラク戦争についての記述はあるが、それ以降のPLO議長アラファトとイスラエル首相シャロンの死などには触れられていない。

外務省HPで確認したら、アラファト死去は04年11月なので、寸での所で間に合わなかったようだ。)

ジャーナリストが書いた本らしく、今世紀(21世紀)に入ってからのごく最近の出来事に多くの紙数が割かれている。

ユダヤ人の歴史とイスラエル建国から1980年代末までの経緯は第1章で扱われている。

50ページほどの分量なので、あくまで概略に過ぎないが、最低限必要な史実には触れられており、まあよく整理されていて良い方だと思う。

それから、1987年第一次インティファーダ(民衆蜂起)開始、91年湾岸戦争とマドリード中東和平会議、93年オスロ合意(パレスチナ暫定自治協定)、95年ラビン首相暗殺、00年第二次インティファーダというように記述は進む。

本書の刊行からでも5年が経ち、時事的著作としてはやや時代遅れになってしまいましたが、村松剛『血と砂と祈り』(中公文庫)藤村信『中東現代史』(岩波新書)の記述の後に繋げて読む本としては十分使えると思います。

あと、本書の特徴として、イスラエル・パレスチナ双方の主張をよく聞き、一方に偏した立場を取っていないことが挙げられます。

この分野はとにかく政治的対立が余りに先鋭なので、当事者間はもちろん、学者やジャーナリストでも党派的立場に囚われがちですが、著者の筆致は双方に批判と同情を併せ持つといった感じで、かなり公平だと感じました。

オスロ合意から2000年以降の和平交渉挫折までの期間が省略気味だったりするのがやや欠点かと思いますが、現代史の空白を埋める本として有益です。

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