万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年8月20日

寺田隆信 『物語中国の歴史 文明史的序説』 (中公新書)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

1997年刊。

『永楽帝』(中公文庫)と同じ著者。

伝説上の黄帝から清朝滅亡までの通史。

新書一冊で20世紀(と今世紀)を除く全中国史を叙述するなんて、前回記事の『物語ドイツの歴史』よりも無謀だろうと思っていたが、読んでみると意外なほど良い。

教科書よりもやや細かな人物を登場させて、物語性を保ち、興味深い読物として成立させている。

事実を工夫なく羅列しただけの、平板で無味乾燥な通史ではない。

挿話や著者の見解・評価を交えながら史実の意味付けをきちんと行い、最後まで飽きさせずに読ませる。

京大出身の著者は、時代区分としては、殷・周・春秋・戦国・秦・前漢・後漢を古代、三国・西晋・五胡十六国・南北朝・隋・唐・五代を中世、北宋、遼・金、南宋・元・明・清を近世とする京都学派と同じ見解を採る。

これとは別の時代区分を持つ人もあるでしょうし、そもそもこんな区分にこだわること自体あまり意味がないという方はさらに多いでしょう。

しかし、初心者の関心の取っ掛かりとしては、この手の話は非常に面白くて最適。

機械的に王朝名を順に憶えるより、はるかに良い。

本書にはいい意味で期待を裏切られた。

高校で世界史を履修せず、中国史を学びたいが、教科書などを読むのは面倒だし、詰まらないので嫌だという方には、まずこれを勧める。

以後、『中国史 上・下』(岩波書店)始め、宮崎市定氏の本を手当たり次第読みまくるのが宜しいかと。

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