万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年8月8日

永田諒一 『宗教改革の真実 カトリックとプロテスタントの社会史』 (講談社現代新書)

Filed under: ドイツ — 万年初心者 @ 06:00

サブタイトルの方が内容をよく表わしています。

宗教改革時代の活版印刷、識字率、聖遺物・聖画崇拝とプロテスタント側の破壊運動、修道士還俗と聖職者結婚などのあれこれについて記述した本。

叙述範囲は、ほぼ16世紀から17世紀前半にかけてのドイツに限られますので、カテゴリはドイツで。

後半部では主に帝国自由都市アウグスブルクにおける新旧両教徒の併存体制について記されている。

1546~47年シュマルカルデン戦争の後、1555年アウグスブルクの宗教和議が結ばれ、諸侯がカトリックかルター派を選択し、領民はそれに従うという妥協が行われたというのは高校世界史でも出てきます。

しかし、アウグスブルクなどいくつかの都市では、例外的にカトリックとルター派の双方が認められている。

そこにおける教会施設の共同利用、異宗派間の男女の結婚、カトリック側がしばしば行う宗教行列などに関する軋轢と妥協が叙述される。

また1582年教皇グレゴリウス13世がユリウス暦に替わり導入を発布した新しい暦法(現行のグレゴリウス暦)が、最初プロテスタントの抵抗を受け、ついで徐々に受け入れられてゆく過程も興味深い。

各章が短くまとめられているので読みやすい。

表現は平易で、難解・複雑な事象や概念を持ち込むことなく、その章に関係する事実に密着した叙述を地道に積み重ねていくもの。

これなら社会史が苦手な私でも十分楽しめる。

大変結構な啓蒙書だと思われます。

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