万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年7月17日

引用文(レーデラー1)

Filed under: 引用文 — 万年初心者 @ 06:00

先日のエミール・レーデラー『大衆の国家』(創元社)より。

左翼勢力に対する敵意の余り、ファシズムという大衆運動を自らの陣営に引き入れた保守的支配層についての叙述。

貴族・大富豪・銀行家・将校・教会といった初期および後期ファシズム運動の支持者たちはすべて、自分たちが不可欠であることをあまりにも過信していたので、極右だと信じていた政党の支配を恐れなかった。だから、独裁とか自由の喪失といったことが何を意味するかについてある種の見解をもっていたために、コミュニストに権力を与えなかった労働者に比べると、これらのひとびとには政治的本能がずっと少なかったといえよう。けれども右翼の集団はいつもシニカルである。いままでの支配の実績がかれらを勇気づけていたし、いったん民主政府の下からその支柱をとりのぞいた暁には、かれらの軍隊と官僚が勝利するにちがいないと確信していた。

だが民族主義的な叫び、労働者組織に対する闘争、暴力の讃美といった訴えも、ブルジョアジーと既存の歴史的権力に反対することばによっていささかよわめられた。くりかえしくりかえしファシズムは、それ以上にナチズムは、自分たちを革命的権力であると公言した。ファシズムのリーダーたちの貴族や銀行家や大富豪に対するあざけりのことばが、大いに聴衆をよろこばせた。かれらは自分たちの若さを強調し、すべての敵を粉砕して是が非でも国家を征服してみせると、自分たちの腕力と強さを自慢した。ところが、保守主義者はこれをことばどおりに信用せず、むしろ追随者用のデマゴギーだと考え、その運動の成功した暁には、大衆は「解散し」て貧民街や仕事場へ戻ってしまうだろうと信じて疑わなかった。こういったことが保守的なひとびとの間に広まった考えだったことは、今日ではほとんど信じられないことだろう―しかし、あまりにもボルシェヴィズムの危険に目がくらんでいたので、自分たちが何に直面しているかを悟らなかったのである。

これが、今の日本と何の関わりも無い文章であれば、幸いです。

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