万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年6月20日

岡本隆司 『世界のなかの日清韓関係史 交隣と属国、自主と独立』 (講談社選書メチエ)

Filed under: 朝鮮 — 万年初心者 @ 06:00

16世紀から日露戦争までの日清韓三国の関係について考察する本。

叙述の中心は李氏朝鮮におかれているようなので、カテゴリはアジアではなく朝鮮にします。

清・韓間の宗属関係、日・韓間の交隣関係という、それなりに安定した国際秩序が、19世紀以降の西力東漸により変化を余儀なくされ、崩壊していく中で、日清韓がそれぞれどのような思惑を持って行動していったのかを巧みに描写している。

特に1880年代の状況に詳しい。

別にわかりにくいところも無く、論旨は明快だとは思うが、内容は豊富で多岐にわたるので、本書もメモを取りにくい。

それを考えるとレベルは少し高めなのかもしれない。

朝鮮開国後、清・韓間で伝統的な朝貢・冊封関係から生じた「属国自主」体制が形作られ、これは日本と欧米列強の脅威に対するものであるが、朝鮮側は清の保護を受けるための名目上の服属関係という意識を持っていたのに対し、清朝は「属国」を実質化する意図を示し、両国の思惑は必ずしも一致せず、1882年壬午軍乱後、清の干渉が露骨化する中で、清との一切の関係断絶を主張する急進開化派(独立党)と、一定限度の関係継続を是認する穏健開化派(事大党)との対立が生じ、1884年甲申事変で両者が激突し、1894年日清戦争に至って、朝鮮半島における微妙な勢力均衡が崩壊し、「属国と自主のあいだ」という李朝の国際法上曖昧な地位にも終止符が打たれる、といったことが書いてあると思うが、私にはうまくまとめられません。

誤読もあるかもしれませんので、以上は鵜呑みにはなさらないで下さい。

事実関係を学んで基礎を固めるためというより、俯瞰的視野からの歴史解釈を得るための本というべきか。

個人的には、本書を読んでいて、李朝末期の史実が、意外なほど頭に入っていないことを自覚して反省しました。

『韓国併合への道』か、他の本でも読んで復習すべきだなと思った。

良書だと思いますし、難解極まるというわけでは決してないが、全くの初心者向けではない。

基礎が身に付いた人が読めば、得るところ大でしょう。

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