万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年4月15日

岩根圀和 『物語スペインの歴史』 (中公新書)

Filed under: スペイン — 万年初心者 @ 06:00

このシリーズでこの国だと、本来もっと早めに読んでおくべきではあるのだが、本書はこれまで全然読む気が起こらなかった。

なぜかと言うと、主要対象年代の偏りがあまりに極端だから。

目次で、全部で六つある章のタイトルを「スペイン・イスラムの誕生」「国土回復運動」「レパント海戦」「捕虜となったセルバンテス」「スペイン無敵艦隊」「現代のスペイン」と眺めるだけで、それがわかろうというもの。

全盛期の15・16世紀だけに集中して紙数が割かれており、それ以外の時代は極めて不十分。

英米仏独中ほどでなくても、スペインのような主要国の歴史を新書一冊にまとめるのは至難の業だと理解しているが、藤沢道郎『物語イタリアの歴史』というあまりに見事な成功例もあるのだから、本書の欠点が一層目立つ。

たまたま他に読む本が手元に無かったので通読したところ、全然面白くないとか興味が持てないということはありませんでした。

しかし内容のアンバランスさは如何ともしがたい。

この欠陥は通史としては致命的。

同シリーズでは、本書だけでなく宮田律『物語イランの歴史』も相当酷い。

20世紀以前は全くの付け足しに過ぎず、内容はどう見ても『イラン現代史』と言うべきもの。(その現代史の記述も大して重要で貴重だとは思えない。)

今からでもそう改題して、『物語』シリーズのイラン枠を空けてより専門に近い方に執筆を依頼すべきではないか。

本書を実際読んでみても、事前に持っていたマイナスイメージを払拭する感想は抱けなかった。

あまりお勧めしません。

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