万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年2月27日

田嶋信雄 『ナチズム極東戦略』 (講談社選書メチエ)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

何やらおどろおどろしいタイトルだが、1936年前後数年にわたって防共協定締結をめぐる日独関係を描写した本。

著者は本書をあくまでドイツ政治史の本としているが、カテゴリとしては「ドイツ」よりやはり「近代日本」が適当な気がしますので、そうします。

1933年のヒトラー政権成立から38年くらいまで、ドイツ外務省と国防省はいまだ完全には「ナチ化」されず、外相ノイラート、国防相ブロムベルクの下、様々な政治集団が独自の行動を取っていた。

1935年、ベルリン駐在陸軍武官大島浩、外交顧問リッベントロップ、国防省防諜部長カナーリスが軍事協定を含む日独提携を積極的に進めるが、対日・対中関係のバランスを重視するノイラート、ブロムベルクの主流派は消極的姿勢に終始する。

しかし、36年に入り、国防省前軍務局長ライヘナウの訪中などで、ドイツ政府内の「中国派」の活動が活発化すると、逆に対日関係悪化を懸念して、反コミンテルンのイデオロギー面と情報工作面に限定した日独協定を是認する勢力が多数派となり、年末の防共協定締結に至る。

144ページから148ページにかけてこの概略がまとめて記述されているので、確認すると良いでしょう。

その他、リッベントロップとナチ党イデオローグのローゼンベルクの間の外交権限争いや、防共協定を軍事協定まで格上げしようとする動きなどが述べられている。

かなり面白いです。

冒頭の大島、カナーリス、有名なスパイのリヒャルト・ゾルゲが登場する書き出しも興味深い。

整然とした叙述で、論旨をしっかりつかむことができる。

ごく基礎的なことが頭に入ったら、手にとってみるのもよいでしょう。

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