万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年2月7日

坂本多加雄 秦郁彦 半藤一利 保阪正康 『昭和史の論点』 (文春新書)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

同じ文春新書の『二十世紀日本の戦争』の記事で名前だけ出した本。

一般的な通史や伝記作品を地道に読んで知識を少しずつ増やしていくのはもちろん大切だが、たまにこういう識者の座談会みたいなものを読むのも非常に有益。

史実の整理の仕方や、価値判断の基準を提供してくれるため。

この本は2000年刊と比較的古いが、ここ数年、月刊『文芸春秋』に時々載ってる戦争関連の座談会がいくつか文春新書で刊行されているので、それを読んでみるのも良いでしょう。

ただ、それだけ読んでわかったつもりになるのではなく、自分で史書を読んで基礎知識をしっかり固めることも大事だと思います(自戒を込めて)。

秦  のちに皇道派といわれる軍人たちは天皇絶対を強調しますが、その皇道派の柳川平助が第一師団長のとき、内務省の役人だった増田甲子七に、「いまの天皇はどうもよくないから秩父宮に代えたほうがいいんじゃないのか」といって、増田から「お前は国賊だ、不忠の臣だ」と怒られるんですが、柳川はケロッとしていたそうです。軍人よりはむしろ文官官僚のほうが天皇に対する忠誠心が強いんですよ。

  ・・・・私は以前からハル・ノート受諾説なんです。なぜかというと、中国に関しては、泥沼化に手を焼いていて、1940(昭和十五)年には、自発的に撤兵しようという計画があったぐらいです。撤兵といっても、一気にすべての兵を引くだけではなく、五年かけて撤兵するとか、様子を見ながら引いたり戻したりするとか、いくらでもバリエーションがあったと思います。それから、三国同盟の解消が要求され、日本は同盟の信義は破れないといいますが、日本に断りもなしに独ソ戦なんかはじめたドイツのほうがよっぽど不義理をしています。むしろ、なんの利得もない同盟を断ち切るいい機会なんですよ。最大のポイントは中国からの撤兵ですが、アメリカに、「満州は入りますか?」と問い合わせればいい。そうすると、満州のことはぼつぼつ相談しましょうとか、そんな話になったと思いますよ。それで、しばらく様子を見ていると、アメリカは対独戦に突入しますから、日本は列国のなかで唯一フリーハンドを持った強い立場に立てたんです。

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