万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年1月30日

ロデリック・ナッシュ グレゴリー・グレイヴズ 『人物アメリカ史 下』 (講談社学術文庫)

Filed under: アメリカ — 万年初心者 @ 06:00

上巻の続き。

マーク・トウェインから、リチャード・ニクソンまで。

冒頭、南北戦争後の「鍍金時代」のアメリカに絶望して、極めて悲観的な人間観を抱いたトウェインの章は強い印象を与える。

また、上巻と同じく背景説明もしっかりしているので、リンカーン暗殺から19世紀末までのアメリカ政治史というマイナーであまり知られていないテーマについても一定の知識を得ることができる。

その後の章も同じ。

マーティン・ルーサー・キングの章では、ブーカー・ワシントンやウィリアム・デュ・ボイスなどの先駆者を含めた公民権運動の歴史が概観できて便利。

最後のニクソンの章はやや視点がリベラル寄り過ぎるかなとも思ったが、じっくり読むとそうでもなかった。

上・下巻を通して読んでみて、比較的良い印象を受ける。

アメリカ史のテキストとしてこれを選ぶのも悪くない。

しかし、これを何度も読み返す基本書にすべきだとか、多数あるアメリカ史の本のうちこれをまず第一に読むべきだとかは、正直思わない。

私が優先して勧めるのは、「またかよ」と思われること必定でしょうが、やはりアンドレ・モロワ『アメリカ史 上・下』(新潮文庫)です。

「いい加減しつこいよ」と言われようが、この本の長所に触れずにはいられない。

まず実直かつ着実に、各大統領の任期を一つも省略することなく叙述し、政治史の基礎を与えてくれる。

その際、多彩な人物・事件に関するエピソードを交え、物語が深く印象付けられる。

それに加えて経済・社会・文化の動きも遺漏無く触れられ、決して視野の狭い事件史に留まっていない。

この本の完成度と初心者が得られる効用は本当にずば抜けてます。

以前も書きましたが、『英国史』および『フランス史』共々、復刊する気が無いのなら新潮社さんには版権を一刻も早く手放してもらいたい。

こういう本はいつでも新刊書店で手に入るようにならないとダメです。

オンデマンド出版でもいいから、何とかなりませんかね。

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