万年初心者のための世界史ブックガイド

2009年1月20日

09年世界史Bセンター試験について

Filed under: おしらせ・雑記 — 万年初心者 @ 06:00

去年もやりましたが、17日に行なわれた大学入試センター試験の世界史Bの問題が、翌日の朝刊に載っていましたので、暇潰しにやってみました。

以下、すべて適当な個人的な感想です。

今年は一問間違えました。

第3問の問8、カロリング朝フランク王国が建国された8世紀に起こった出来事について述べた文のうち、正しいものを選べという問題で、選択肢は以下四つ。

1.ピピンは、ランゴバルド王国を滅ぼした。

2.カール大帝は、マジャール人を撃退した。

3.唐の太宗の治世は、開元の治と呼ばれた。

4.ハールーン・アッラシードの治世が始まった。

まず、2は間違い。

アヴァール人とマジャール人の区別、前者はカール大帝、後者はオットー1世によって撃退されたというのはよく問われる基本事項なので、即クリア。

3は開元ではなく貞観の治というだけで判別できるが、唐の成立が618年で、太宗は二代目皇帝だからその治世は7世紀のはず、よって間違いと二重にチェックして落とす。

(唐王朝建国年代は確か山村良橘『世界史年代記憶法』(代々木ライブラリー)では「李(6)[六を“り”と読ませる。六朝から]淵いちばん(18)、唐興る」と載っていた。この憶え方はたぶん死ぬまで忘れないでしょう。)

問題は1と4。

カール戴冠が800年で、普通考えたらカールと使節を交換したハールーン・アッラシードは8世紀末には在位しているはずだが、ひょっとして9世紀初頭に即位してそれからカールと交渉したのか。

ランゴバルドを滅ぼしたのってピピン3世だったかな、それとも息子のカール大帝だったかな、ピピンの寄進ってのがあってイタリアのラヴェンナ地方を教皇に献上したんだから、やっぱりピピン3世か、などと考えて1を選んだら、ものの見事に間違えました。

教科書には、ピピンはランゴバルドを「討って」ラヴェンナを献上したとしているが、完全に滅ぼしたのはカール大帝時代だとちゃんと書いてある。

よって4が正解。

ハールーン・アッラシードの在位年代786~809年を正確に憶えておくのは難しいので、やはり上記のランゴバルド関係の記述を押さえて消去法で選択すべきところでしょう。

話が逸れますが、「ランゴバルド」の表記って最後は「ド」なんですかね?

私が高校生の頃「ランゴバルト」と憶えた記憶があるんですが。

最近の教科書では「ロンバルド」と書いてあるようです。

Burgundsはブルグン「ト」でいいみたいですけど。

全く外国語を知らない私にはよくわかりません。

その他の問題では、中国経済史で、宋代の「蘇湖(江浙)熟すれば天下足る」と明代の「湖広熟すれば天下足る」の区別をさせるのはやや難しい(私も高校時代からあやふやでした)。

問題文で「穀倉地帯が長江中流域に広がり」と書いてあるので、私はそれで判断したが、それでも中国の省名のごく大雑把な位置関係を押さえておかないと選べない。

なお、年代を記憶しておかないと答えられない問題が多数あるのも去年と同じ。

選択肢の史実そのものの年代は憶えていなくてもいいが、それと関連のある重要史実の年代の前後関係から類推していかないと解けない問いが非常に多い。

もう受験生じゃない身分としてはそんなことどうでもいいと言えますが、趣味として普通に世界史を学ぶ上でも年代記憶は避けられないというのがご承知の通り私の意見です。

以下、高句麗に関して誤っている文を選ぶ問題。

1.4世紀に、楽浪郡を滅ぼした。

2.5世紀に、百済や新羅と対立した。

3.6世紀に、百済を滅ぼした。

4.7世紀に、唐と戦った。

高句麗による楽浪郡滅亡は確か313年だったかな(確認したらあってた)、だから1はマル、2は5世紀だけじゃなくて常に対立してるようなもんだろうと思い保留、百済を滅ぼしたのは唐と新羅連合軍だからその時点で3がバツとわかるのだが、そこまで考えが回らず、645年大化の改新の後、中大兄皇子が百済滅亡を受けて出兵し白村江で戦ったのだから7世紀のはずだ、とまわりくどいやり方で正解を出す。

なお、12世紀の出来事を選ばせる問題で、「日本では、鎌倉幕府が開かれた。」という選択肢があり、1192年(今は1185年の守護・地頭設置ですかね)という日本史の年代さえ頭にあれば答えられるので、あまり良問とは言い難いと思った。

ドンソン文化の器物の写真を見せて正しいかどうか答えさせたり、アンコール・ワットが最初は仏教寺院ではなく、ヒンドゥー教寺院として建てられたことを確認する問題も難しい(石澤良昭『アンコール・王たちの物語』参照)。

「中世末にヨーロッパで描かれた『死の舞踏』は、最後の審判の様子を示している。」という正誤判定があり、これは黒死病に関するものだと思うのでバツでしょうが、センター試験で問うべきことかなあと疑問に感じる。

「国際連盟に、国際労働機関(ILO)が付置された。」という文では、ILOというのは今もあるから連盟じゃなくて国際連合だろうと思ってしまうが、実際は第一次大戦後からあった。

これはやや引っかけ問題の匂いがする。

「アズハル学院は、ファーティマ朝時代のカイロに設立された。」

アズハル大学ってイスラム世界でも最有力学府だよな、それがシーア派王朝のファーティマ朝治下で設立されたんだっけな、もしかして次のスンナ派アイユーブ朝の時じゃないのか、しかし最初はシーア派で後に正統派大学になったとも考えられるだろうと思い、マルにしたら正解でした。

危ない、危ない。

こんな基礎的なところで引っ掛かっちゃいけませんね。

第二次大戦でスウェーデンが中立を維持したことが問われた。

デンマーク、ノルウェーはドイツに占領され、フィンランドはその前にソ連に侵攻されたこともあって枢軸側に加わる。(この辺の話は武田龍夫『嵐の中の北欧』が面白い。)

あとはスペインが第一次・第二次大戦ともに中立、第一次大戦ではベルギーが中立侵犯されたのに対しオランダは中立維持、第二次大戦ではオランダ・ベルギーともドイツに蹂躙されたことなんかも憶えておきましょうか。

ちなみに今確認したら第一次大戦時はデンマーク・ノルウェー・スウェーデンは3ヵ国とも中立だったそうです(なお当時フィンランドはロシア支配下にあり国自体存在してない)。

こういうペーパーテストの形式で歴史を学ぶのは大嫌いという方もおられるでしょうが、私にとってはいい暇潰しになります。

思わぬところで基礎知識も確認できたりしますし。

以前たまに歴史能力検定でも受けてみようかなと思ったことがあります。

例題を見てみると2級までは概ね高校世界史の範囲内ですが、1級になると急に難しくなりますね。

ものすごく細かな点まで問われるようで、さすがに少々意欲が鈍ります。

ですが、気が向いたら一度受けてみようかなとも思っております。

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