万年初心者のための世界史ブックガイド

2008年12月28日

狭間直樹 長崎暢子 『自立へ向かうアジア (世界の歴史27)』 (中央公論新社)

Filed under: インド, 全集, 中国 — 万年初心者 @ 06:00

20世紀以降の民族独立史。

タイトルに「アジア」とあるが、記述対象は第1部の中国と第2部のインドだけ。

目次見た途端にガックリきました。

この全集も残り3巻ですが、以後は国際関係の概説だけのようだし、中印以外のアジア・アフリカ諸国の詳しい独立史が記されているとも思えない。

地域ごとの巻でも、19・20世紀の歴史についてはそれほど細かな記述は無かった気がする。

この中公新版は巻数が多い分、世界史のほとんどの地域と時代をカバーしているという印象があったのですが、何やら必ずしもそうとは言えないのではないかという疑念が頭をもたげてきます。

変なところで昔ながらの世界史全集に見られた主要国中心主義のケがありますね。

気乗りしないまま第1部の中国現代史を読み始めたのですが、うーん・・・・・と首を傾げてしまう。

近現代史に関して右とか左とかいう鬱陶しい話は出来るだけしない方がいいんでしょうし、ちょっとでも左派的なことを書いてたら無条件でダメだなんて偏狭なことを言うつもりは毛頭無いんですが(恥ずかしながら以前そう考えていたことがあったのです)、本書の記述にはやはりある種の「硬直」や固定観念を感じる。

辛亥革命から日本の敗戦までの主要史実をコンパクトにまとめてあるところは長所と言えるのかもしれませんが、史実の評価や整理の仕方に関しては斬新で感心するような新たな視点はほとんど無いと言わざるを得ない。

10年前ならこれが平均的記述というところだったんでしょうし、今世間で溢れている単純で偏狭な反中国世論に基いて再解釈された歴史が正しいとも思いませんが、個人的にはやはりちょっとついて行けない部分が多かった。

第2部のインド独立史に入っても、どうももう一つ。

長崎氏は『インド大反乱1857年』の著者で高名なインド研究者なんでしょうが、あんまり面白いと思わない。

ただ、他の概説でも植民地化以後のインド史にはあまり興味が持てず、面白く読んだ覚えが無いので、単に私個人の問題かもしれませんが。

僭越ながら正直な感想を言わせて頂くと、残念ながらこの巻はハズレです。

あんまり得たものはありませんでした。

この全集を通して読む場合、避けてとばすほど悪いとは思いませんが、20世紀前半の中国史、インド史を知るためにわざわざこれを選ぶ必要も無いのではないかと言わざるを得ない。

まあ自分の無知を棚に上げて本の悪口言うのが大好きな私ですから、話半分に聞いて下さい。

当たり前過ぎますが、最終的には皆様が読んでご判断下さい。

広告

WordPress.com Blog.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。