万年初心者のための世界史ブックガイド

2008年12月25日

木村靖二 柴宜弘 長沼秀世 『世界大戦と現代文化の開幕 (世界の歴史26)』 (中央公論社)

Filed under: 近現代概説, 全集 — 万年初心者 @ 06:00

両大戦間の米英仏独ソ各国史を中心にした概説。

第1部が第一次世界大戦とその余波、第2部が1920年代、第3部が30年代で末尾は第二次大戦開戦まで。

対象とする時期自体はさほど長くなくとも、極めて密度の濃い重要な時代なので、扱うべき事項が多く、厚さは普通なのに全部で17章もある。

その分1章ごとのページ数は少ないが、これを読みやすいと見るべきか、内容が薄いと見るべきか。

読み始めてみると、最初の方はあまり詳しくもなく、どうも漫然とした記述が続くだけのように思えて、もう一つである。

しかし、途中から最近の研究成果に基いた史実の新たな見方を紹介してくれる文章が増えて、割と面白くなってきた。

特にナチ体制の実像を叙述した章はなかなか。

第二次大戦へと向かう外交史も宥和政策の評価などが興味深いし、挿入される個々のエピソードも印象的で歴史の流れを記憶する助けになる。

後になればなるほど良い。

非常に楽にページを手繰ることができ、休日に部屋で寝転がりながら眺めてたら土日の二日で読めました。

しかし、記述が必ずしも時系列順になっておらず、話の配列が上手くないような感がするのは気のせいでしょうか。

読後感は比較的良好なのですが、教科書レベルの次に即読むべき本かというと迷ってしまう。

内容に時代遅れの面があっても、個人的にこの時代の概説としては、まず文春大世界史シリーズの林健太郎『二つの大戦の谷間』野田宣雄『ヒトラーの時代』を推奨したい。

「こんな骨董品勧めるなよ」と言われるでしょうが、高校世界史に毛が生えた程度の初心者(つまり私)のための啓蒙書という観点からすれば、この二書の完成度は本当にただごとではないです。

まずこれらを読んだ後、本書に取り組めばより多くのものを得られると思います。

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