万年初心者のための世界史ブックガイド

2008年8月15日

大貫良夫 他 『人類の起源と古代オリエント (世界の歴史1)』 (中央公論社)

Filed under: オリエント, 全集 — 万年初心者 @ 06:00

中公新版「世界の歴史」第1巻がこれ。ただし配本順はかなり後の方。

河出版「世界の歴史」だと第1巻がまるごと『人類の誕生』に当てられてますが、本書は先史時代とアケメネス朝ペルシアの統一直前までのオリエント史がセットになってる。

(ただしオリエントではフェニキア、アラム、ヘブライの地中海沿岸の諸民族は範囲外。)

さて第1部「人類文明の誕生」ですが、しょっぱなの原人やら新人の話辺りはまあまあ快調だったんですが、そもそも自分が先史時代への関心がはなはだ薄いので、「○○文化」とか「○○期」とか「○○伝統」とか、世界各地の新・旧石器文化が次々出てくる部分になると、いかんいかんと思いながらも、「あー早く終わんねーかなー」という気持ちを抑えることができない。

石器がどうとか、土器がどうとか、住居跡がどうとかいう話はどうにも退屈でしょうがない。

それが終わってやれやれと思い、第2部のオリエント史に入るのだが、こちらもどうも宜しくない。

まずごく大まかな概観を提示し、それから細部を論じてくれればいいのだが、やたら細かい都市国家の歴史を工夫無く書き連ねたといった記述が続くので、少々辛い。

それでもアッシリアの章くらいからは割と面白くなってくるのだが、高校世界史レベルからより高度な段階を橋渡しして、初心者が押さえるべき知識の一応の目安となるレベルをはっきりと提示してくれるような叙述ではない。

そもそも自分の苦手分野だということを差し引いても、どうもまとまりに欠けるという印象があり、読んでもすっきりしない。

初心者向け概説としては、河出文庫の『古代オリエント』や文春大世界史の『ここに歴史はじまる』のような古い本にも劣る気がする。

だが、第3部のエジプト史になると一転してわかりやすくなる。

オーソドックスな通史という感じで良好。

(ただそれは単にエジプト史という対象自体がアジアのオリエント史ほど複雑ではないというだけかもしれない。)

新王国第18王朝のファラオたちの治績に詳しく、暗記すれば効用大。

他に個々の記述では、カッシートとミタンニの民族系統について、帝国書院『新詳世界史B』での記述と同じく、どちらもインド・ヨーロッパ語族ではなく、ミタンニの被支配民族のフリ(フルリ)人は言語系統不明であり、また支配層だけが印欧系であるとの説も認めがたく、支配層含めフルリ人の国家であったとの説が有力と書かれている。

高校時代、古バビロニアが滅ぼされた後の印欧語族国家として、ヒッタイト・ミタンニ・カッシートとセットにして覚えていたのが、確実に印欧語系なのはヒッタイトだけということらしく、せっかく覚えたことが訂正されて何となく残念というか妙な気分です。

通読してみましたが、あまり面白いと思いませんでした。

500ページを超え、このシリーズでもかなり分厚い方ですが、読む手間の割に得られるものは少ない。

頭が鈍く根気もないのに文句だけは一人前という私ですから、無いものねだりの悪口もいい加減にしろと言われるかもしれませんが・・・・・強いてお勧めしたいという本でもないです。

ただ、それほど酷いというわけでもないので、このシリーズを全巻読むつもりなら避ける理由はないでしょう。

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