万年初心者のための世界史ブックガイド

2008年6月9日

木下康彦 木村靖二 吉田寅 編 『詳説世界史研究』 (山川出版社)

Filed under: 教科書・年表・事典 — 万年初心者 @ 06:00

教科書の記述を大幅に補強した参考書。

最近改訂版が出たようです。

私が高校時代使っていたこの種の本は確か旺文社から出ていたものだったと思う。

旺文社のHPを見ると、今はその種のものは出されていないようだ。

パラパラ読んでみると詳細かつ丁寧な内容でなかなか良い。

所々にあるコラムも興味を持たせる。

時々教科書的叙述から踏み越えた史的評価があって面白い。

例えば、フランス革命の章の末尾を読んでみて下さい。

受験参考書とは思えない程、冷静な懐疑精神に満ちた文章に深く感心させられます。

少々値は張りますが、買い求めて手元に置いておくのも良いのではないでしょうか。

どの本に収められている分だったか思い出せないのですが、宮崎市定氏のエッセイで以下のような文章を読んだ覚えがあります。

日本の歴史教科書は生徒が内容を全部覚えるものという建前があるので、重要な歴史用語を並べただけの簡略なものであり、教師がそれに詳しい細部を加えた指導用教本を持っている。

それに対してフランスでは生徒向けの教科書が非常に詳しく、例えば日露戦争の部分では日露両国の捕虜の数の比較までもが載っており、教師はその膨大な記述の中から何が重要かを指摘しながら授業をする。

そして、その日仏両国の教え方を比べて、宮崎氏はフランスの方に軍配を上げるといった話だった記憶があります。

私も鶏ガラみたいな教科書の記述は初心者にとって砂を噛むようで面白くないだろうと考えます。

非常に勝手な空想を言わせてもらうと、まず教科書の分量を数倍に増やしてみてはどうでしょうか。

興味深いエピソードや人物の肖像を出来る限り採用し、物語性を最重視した叙述に徹した教科書を作る。

その教科書は興味のある部分を生徒が自由に読むようにして、普段の授業は板書やプリントでポイントを明示し読書の力点のみを指導するといった感じ。

実現性はほぼゼロですが、たまにそんな埒も無いことを考えます。

ただ、初心者向けの本としては「簡略だからわかりやすい」とは必ずしも言えず、ある程度の網羅性が無いとかえって理解しにくいという点があるのは事実じゃないかと。

ということで、実際の教科書ではなく、本書程度の参考書を基本テキストとして使うのも一理あると思われます。

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